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平和の大道 44
ベーリング海峡トンネルの地政学的考察

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

地政学的視点から見て

 「地政学(ゲオポリティクス)」という学問がある。地理的な位置関係が、政治、国際関係に与える影響を研究する学問であり、欧米諸国で研究が進んでいる。この学問は主として戦争する時の戦略策定の視点から研究されてきた。大別して、ドイツのランドパワー派と英米のシーパワー派に分かれる。ベーリング海峡海底トンネルの持つ意義やその効果を考える時、この地政学上の観点を踏まえて考察しないと、政治・経済・文化・文明に及ぼす影響や効果を深く理解することができない。またある地域の持つ価値や重要性を正しく把握することが難しくなる。

 結論から言えば、ベーリング海峡トンネル構想が実現すると仮定すれば、世界の勢力地図を一変させるほどの影響があり、従来の地政学を大転換させるだけの内容があることが分かる。

 ベーリング海峡トンネル構想が完成して、アジア大陸と北米大陸が連結されて陸路(鉄道または道路)で通行できるようになった時の、世界の交通体系から見た地理上の意味合い(地政学)の変化を、地球儀を俯瞰しながら考察してみよう。

ロシア・アラスカ地域の浮上

 ロシアとアラスカを真ん中にして世界の三大先進地域である欧州と北米と日本を含めた北東アジア地域が陸路で連結されるようになると、世界のパワーバランスがどのように変化するのだろうか。

 1516世紀に、コロンブス、マゼラン等により地球規模の大洋、大洋間の航路が発見されてシーパワー優位の大航海時代が始まるようになった。その結果、スペイン、ポルトガル、オランダ、英国、米国等の欧州諸国が世界史の主役として登場するようになった。それまでは、シルクロード沿線の中央アジアのサマルカンドやフェルガナ等の諸都市が西洋と東洋の交易の中継点として栄えていた。

 今度は、大航海時代以前の500年前の時代に遡るかのように、ロシアのシベリア地域と米国のアラスカ地域が、かつての中央アジアのように地球規模の交易の中継点として繁栄するようになる。つまりこれは、この地域の地政学的重要度が大きく増すことを意味し、地球規模の交通体系も劇的にシフトするということである。

 その際日本が、日韓トンネル、宗谷海峡トンネル、間宮海峡トンネルでアジア大陸と連結されていると仮定すれば、日本から陸路で米国や欧州に最短距離で往来できるようになる。欧州諸国も陸路で米国、北東アジアに最短距離で往来できるようになる。南北米大陸諸国も同様に陸路で北東アジア、欧州に往来できるようになる。このような交通事情は、以前には予想することさえできなかったことだ。

 近年は大洋、大洋間の航路を活用したシーパワーにより、欧州、米国の中心の近代文明が栄え、ロンドンやニューヨークの港湾都市が国際的な巨大都市(メガロポリス)として繁栄し発展したが、近い将来は、ロシア・アラスカ地域を中継点とした陸上交通が主体となった文明が発展する可能性が大きくなることが十分に予想される。

 その際に、もし、日本がアジア大陸と海底トンネルを通して陸路で連結されていなかったとするならば、日本は世界の先進地域から脱落し、今の繁栄を維持することは難しくなることは火を見るよりも明らかである。

ランドパワー優位時代の到来

 ベーリング海峡トンネル計画が実現すれば、ユーラシア大陸とアフリカ大陸からなる世界島から離れた島である北米大陸が、アフリカ大陸と同様に地峡でつながり、世界島の一部になるという地政学的大転換が生じる。そして、鉄道・道路を中心とするランドパワーの輸送力と輸送速度がシーパワーのそれを圧倒することになるだろう。今後ベーリング海峡はスエズ海峡やマラッカ海峡と同様の戦略的な重要性を持つことになるだろう。

 また、この計画よりもコストが低く利益が大きいと予想される宗谷海峡トンネルを利用した日露間の鉄道直結計画がベーリング海峡トンネルよりも先に実現する可能性も高いと見ることができる。この意味でも、北方領土問題を解決して、日露平和条約を早急に締結し、日露間の自由通行・自由交易を可能にする基盤を整える必要がある。

 日韓トンネルも同様である。[43]で述べたように、いつまでもこじれた日韓関係が続くと、日韓トンネル建設着工が大幅に遅れ、ベーリング海峡トンネル建設や日露間の宗谷海峡トンネル建設に先を越されることにもなりかねない。これは日韓両国にとって憂慮すべきことである。両国は文明進歩の大きな潮流に歩調を合わせて、日韓トンネル建設を早急に国策として決めるべきである。21世紀はロシアと鉄道・道路のパイプラインでつながった欧州・北米・北東アジアの三極体制になるであろう。

(『友情新聞』2015年2月1日号より)

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 次回は、「ベーリング海峡トンネル計画と日本」をお届けします。


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