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中和新聞セレクト Vol.4
混迷する現代社会Ⅱ

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第4弾は「混迷する現代社会Ⅱ」(21世紀の家族を考える会)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。

 同コンテンツは『中和新聞』2020年5月から連載中のシリーズです。

第19回「カトリック教会での性的虐待」について考える

(中和新聞 2023年2月14日 通巻1537号より)

 このシリーズでは、現代社会が抱えるさまざまな問題点を分析し、社会や家庭における正しい観点(価値観)や方向性を提示します。今回は「カトリック教会での性的虐待」について考えます。

 「必読! カトリック信者の勇気ある告発書。誰も書かなかったローマ教皇庁の衝撃の事実」。これは、202212月に出版された『バチカンの狂気 「赤い権力」と手を結ぶキリスト教』(ビジネス社)の帯に、イスラム思想研究者の飯山陽氏が寄せた推薦のコメントです。

 著者は麗澤大学国際学部准教授で日本史研究者のジェイソン・モーガン氏。カトリック信者であり、大変な知日家、親日家でもある著者は、本書執筆の理由を次のように証しています。

 「日本の皆様に、私の愛するカトリック教会の本来の姿を知らせ、理解し、共に進んでいただきたいのです。日本のためにも、カトリック教会のためにも、バチカンの汚れを清め、正しい軌道に戻すというのが私の願いです」

 令和3年版『宗教年鑑』(文化庁編)によると、日本のカトリック信者は435000人ほどですが、カトリックの総本山バチカンを含め、その内情を知らない人がほとんどではないでしょうか。

 『バチカンの狂気』には、バチカンと中国共産党との関係や、昨今注目を集めているLGBTQがカトリック教会内にも蔓延しているようすが、克明に描かれています。近年、世界各地で「LGBTQミサ(典礼儀式)」が執り行われているほか、「神父、司教、大司教、枢機卿などの中にはゲイである人が数多く存在」しているというのです。

 今回は、本書の中でLGBTQとともに問題視されているカトリック教会内での性的虐待について、確認したいと思います。

■仏カトリック教会での被害者は33万人?
 2021105日、仏カトリック教会から依頼を受けた独立調査委員会が報告書を公表しました。報告書によると、「フランスのカトリック教会の神父らが、21万6千人の子どもたちに性的虐待などの性被害を加えた」「70年間にわたり29003200人の聖職者が関与した」というのです(「朝日新聞」2021106日付朝刊)。

 さらに、「被害者の8割は少年で、大半が1013歳の頃に被害を受けた。加害者に教会の補助職員らを加えると、被害者の数は推定33万人に上る」とのこと。同委員会の委員長を務めたジャンマルク・ソベ氏は、「2000年代初めまで、被害者は深く、完全に、残酷なまでに無視されていた」と指摘しています。

 2002年、米国の神父ジョン・ジョーセフ・ゲーガンが、130人以上の少年に性的虐待をしていたことが発覚。その後、世界各地で被害の告発が相次ぎ、調査報告書が公開されてきました。

■性的虐待が同性愛者を“再生産”する

 『バチカンの狂気』に掲載されている、カトリック教会内での数多くの性的虐待の事例を一部、紹介します。

 マザー・テレサが創設した「神の愛の宣教者会」の会長まで務めたドナルド・マグアイア神父は、「何十年にもわたって、数え切れない数の少年を性的に虐待した」と指摘されています。しかも「1人の被害者に対してだけでも、1000回以上の性的虐待があった」との証言まであるのです。なんとおぞましいことでしょうか。

 英国人カトリック信者マイロ・ヤノプルス氏は、「子供の頃、神父によって性的虐待を受けた」「この虐待は大きなトラウマとなり、自分がゲイになったことに深く関わっている」と述べています。

 本稿910の「『同性愛』について考える」でも詳述していますが、複数の調査結果から、同性愛者の多くが幼少期から青年期に性的虐待を受けているか、機能不全に陥った家庭に育っていることが明らかになっています。ハーバード大学のロバート教授らも、幼少期の身体的あるいは性的虐待が、同性愛を誘発させるという分析結果を発表しました(2013年)。

 カトリック教会内に「ゲイである人が数多く存在する」要因の一つに、性的虐待が同性愛者を“再生産”していることが挙げられるでしょう。

■「サタンの血」を断ち切るために
 性的虐待は、何もカトリック教会に限った話ではありません。ただ、神やイエス・キリストを信仰する教会内で性的虐待が起こり続けてきたことには、大きなショックを受けざるをえません。

 2001527日、米国で聖職者を中心とした国際合同祝福結婚式が行われ、ローマ・カトリック元ルカサ大司教のエマニュエル・ミリンゴ氏が参加しました。前日にミリンゴ氏が発表した声明には、次のようなことが記されていました。

 「不自然な欲情、私生児、その他の隠された恐ろしい出来事を含む、あらゆる種類の冒瀆は、神に仕えようとする者たちの生活に重くのしかかっています。司祭や修道女の中に同性愛や妊婦が増加していることは、もはや周知のこととなりました。このようにして、サタンの血は神の教会の中に流れ込み続けています。このサタンの血が清められ、神の真の愛、生命、血統が元どおりにされなければなりません」

 カトリック教会内で性的虐待が引き起こされてきたことに、聖職者の独身制が深く関わっていることも否定できないでしょう。性的虐待、性犯罪は「魂の殺人」と呼ばれるほど深刻な問題であり、被害者のみならず、神をどれほど悲しませるでしょうか。

 現在もカトリック教会内に流れ続ける「サタンの血」と「不自然な欲情」を根本的に断ち切るためにも、神が祝福される結婚とその素晴らしさを堂々と証していくことが願われているのです。

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 次回は、「『性自認』について(前編)」をお届けします。

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