総合相談室 Q&A 第10回
二世の障害をどう理解し、対応したらいいですか

回答:臨床心理士・大知 勇治

 この内容は、『TODAY'S WORLD JAPAN(トゥデイズ・ワールド ジャパン)』2013年5月号の「総合相談室Q&A」から抜粋したものです。「総合相談室Q&A」は、動画版(U-ONE TV/全16回)でもご覧いただくことができます。

Q1 障害のある二世に対して、私たちはどのように対応していけばいいのでしょうか。

A1 まず、障害とは何かということについてお話をします。障害というのは法律で定義されていて、障害者というのは法的に障害を有していると認定された人のことを指します。
 障害者の定義は、障害者基本法の中に書かれています。この法律は昨年改正されています。
 その第二条第1項に、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」と説明しています。
 ですから、日本では、障害というのは、身体障害、知的障害、発達障害を含む精神障害の三種類と定められているということです。これ以外の障害は法的にはありません。
 障害のあるお子さんのいるお母さんに、「お子さんの障害は何ですか?」と尋ねると、「ダウン症です」とか「脳性麻痺です」と答えるお母さんがいらっしゃいます。
 しかし、ダウン症とか脳性麻痺というのは疾患名であって、障害名ではありません。ダウン症の場合、多くは知的な遅れを伴っているので、その場合には「知的障害です」と言うのが正しく、またダウン症の場合、先天性の心臓疾患を伴うことも少なくないので、この場合には「心臓疾患による身体障害」があるということになります。
 一方では、ダウン症という診断を受けても大学を出ている人もいますので、そうした人はダウン症であったとしても、障害を持ってはいないということになります。
 脳性麻痺の場合も同様に、「身体障害です」と言うのが正しい答えになります。
 表1は、日本で障害がどのような法律によって規定されているかを示すものです。
 もし、お子さんやご家族に障害のある人がいるのなら、ぜひ法律にも関心を持ってください。日本という国が障害に対してどのような考え方を持ち、どのような支援サービスを行っているのかを理解していただけるでしょう。

[表1](画像をタップすると拡大してご覧になれます)

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Q2 こうした障害のある人たちは、どれぐらいいるのでしょうか?

A2 日本国内の障害児・者数ですが、障害者白書の平成23年版によると、身体障害児・者は、366万3千人で千人中29人、知的障害児・者は57万7千人で千人中4人、精神障害児・者数は323万3千人で千人中25人、合計だと747万3千人で千人中58人になります。
 ですから、日本人の約6パーセントは障害があるということです。もちろん、これは障害者として認定を受けている人の数です。障害認定は受けていないけれども、いろいろな生きにくさを持っているという人であれば、もっとたくさんいるということになります。
 また、「平成23年版の子ども・若者白書」によると、義務教育課程の中で特別支援教育を受けている児童生徒数は約27万人で、同じ年齢段階にある児童生徒全体の約2.5パーセントに当たります。
 ただし、この図1を見ていただくと、これは平成14年度に文部科学省が全国の小・中学校の通常学級の担任に調査したもので、知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示すと担任教師が回答した児童生徒の割合です。
 この調査は正式な診断に基づいたものではありませんが、発達障害児の可能性がある児童生徒の割合が6.3パーセントという数字が出ています。
 発達障害というのは、学習障害、注意欠陥・多動性障害、自閉性障害やアスペルガー症候群などの広汎(こうはん性発達障害などを指します。こうした障害を持っている人たちは、まだまだ支援を受けられずにいるという現状があると考えられています。

[図1](画像をタップすると拡大してご覧になれます)

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Q3 食口(シック/家庭連合の教会員)の中には、なぜ祝福を受けたのに障害のある祝福二世が生まれるのかという疑問を持つ人もいます。この点についてはどのように考えたらいいのでしょうか?

A3 祝福家庭は、真の父母様と共に、全人類を代表して、先駆けて問題解決の道を歩んでいるのですから、食口ではない人と同じだけ、いえ、もしかしたらそれ以上の問題を抱えていてもおかしくはないと思います。
 最低でも一般のデータと同じぐらいの割合で障害のある人、二世がいると考えたほうが自然でしょう。(続く)

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 次回は、第11回「二世の障害をどう理解し、対応したらいいですか」をお届けします。