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家族の絆づくり 275
四つの「よろこび」の生活

ナビゲーター:阿部 美樹

「喜び」と「悦び」
 うれしいという感情表現を「よろこび」といいますが、漢字で表現する場合は4種類になります。
 その一つ一つを確認しながら、「よろこび」の大切さを心に刻んでいきましょう。

 第一は、「喜び」です。
 一般的なうれしい出来事があったときに使う言葉です。うれしい出来事の内容は特に問われず、自分がうれしいときの感情表現です。どんな時でも、喜びの心で生活し幸せを感じて生きることが大切です。

 第二は、「悦び」です。
 悦ぶというのは、自分自身にうれしい出来事があったとき、または他人を喜ばすことをしたときなどに使います。
 自分にうれしい出来事があったときに使えるので、喜びと意味はあまり変わりませんが、たいていは悦ぶではなく、喜ぶを使います。

 従って、悦びは他人を楽しませたり、喜ばせたりしたときに使う言葉という特徴があり、そこが違いになります。
 また、「悦に入る」などの言葉があるように「恍惚(こうこつ)とすること」を意味します。

「歓び」と「慶び」
 第三は、「歓び」です。
 歓びというのは、「願望」がかなってうれしいという意味であり、うれしさの中でも「声が出るほどのうれしさ」「他人と喜び合うこと」など、にぎやかなニュアンスが含まれる場合に使います。

 普通にうれしいときに使うのには適さないでしょう。
 これ以上ないうれしさを感じたときにこそ使うので、この歓びという表現を使うケースというのは人生の中で何回かということになると言えるでしょう。

 第四は、「慶び」です。お祝い事をおめでたいと思う気持ちを意味しており、その気持ちを周囲に伝えるためにあいさつ文などで使われる言葉です。ですから日常会話としてはほとんど使われない言葉になります。

 古代中国では、お祝いの品として鹿の角を持っていくとき、それを届けようと歩いている時の心が「慶び」なのだそうです。
 つまり、この字を使うのはお祝いに限られるというわけです。

 このように自分がうれしい「喜び」、他人もうれしい「悦び」、歓声を上げる「歓び」、お祝いを表現する「慶び」を、日々感じる生活を心がけたいものです。
 そのためには、「喜ぶ能力」「悦ばせる能力」「歓ぶ感性」「慶ぶ表現力」を高めていきましょう。