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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!

第143回 カルト宗教とは何でしょうか?

ナビゲーター:阿部美樹

(動画版『ほぼ5分でわかる人生相談Q&A』より)

 皆さん、こんにちは!

 今回は、「カルト宗教とは何でしょうか?」という質問に対してお答えします。

 カルトとは、「崇拝」「礼拝」を意味するラテン語から派生した言葉です。
 フランス語では、宗教の宗旨別を意味し、学術用語としてはカリスマ的指導者を中心とする小規模で熱狂的な会員の集まりを指します。

 例えば、イエスに従った使徒たちは皆、生まれながらのクリスチャンだったのではなく、ユダヤ教から改宗した人たちだったため、「カルト」の一員だったといえます。

 数世紀を経て、生まれながらのクリスチャンが大多数を占めるようになり、キリスト教は「カルト」から教会へと進化したというのです。

 明らかにカルトという言葉は、ほとんどの学者たちにとって、否定的な意味合いを持っていませんでした。
 しかし20世紀に入って、全く異なる意味で使われるようになったのです。

 カルトは、組織的な犯罪を行う宗教団体、あるいは将来犯罪を行いそうな宗教団体というような意味になりました。
 この意味合いは、江戸時代のキリシタン弾圧に用いられた「邪宗」という表現に似ています。

 犯罪的宗教運動とは、組織的に犯罪を行うか、少なくとも身体的暴力、レイプ、児童虐待、殺人などの一般的な犯罪を扇動するグループを指します。

 1960年代後半以降、「反カルト」活動家団体が出現し、「カルト」の活動を制限するよう、要求するようになりました。
 彼らは「カルト」を殺人や性的虐待などの一般的な犯罪を行う運動ではなく、「洗脳」という架空の犯罪を行う集団だと定義しました。

 このような歴史的変遷があるように、「カルト」の客観的な基準は存在しません。
 今では、「カルト」は「私が嫌いな宗教」という意味になり、差別用語になっています。まさに、ヘイトスピーチです。

 ヘイトスピーチとは、人種、出身国、民族、宗教、性的指向、性別、容姿、障害などに基づいて、個人または集団を攻撃、脅迫、侮辱する言動のことです。

 ヘイトスピーチが、偏見、嫌がらせ、脅迫、暴行などヘイトクライムという犯罪を誘発する可能性もあります。

 社会の公器を自認するマスコミは、「カルト」という言葉の使用を自重すべきです。それが本来すべきことなのです。

 また、国が「まともな宗教」と「カルト」を差別することがある場合も問題です。

 憲法第20条「信教の自由と政教分離」には次のように定められています。

 「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」

 さらに、「国は特定の宗教を優遇することができないと同時に、特定の宗教を迫害・弾圧することもできない」とあります。

 「国は宗教の教えの内容に関してはその是非を判断してはならず、すべての宗教に対して中立でなければならない」という政教分離についても示されています。

 このようなことも踏まえた上で、カルトという言葉の本来の意味を理解しなければなりません。

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