2023.07.07 22:00
【テキスト版】
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第144回 韓国と日本の文化の違いについて教えてください
①愛の文化と美の文化
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回から「韓国と日本の文化の違いについて教えてください」という質問に対して何回かに分けてお答えします。
韓国と日本は似ている面もありますが、違う面も多くあります。韓国と日本の文化を比較して、両国の良い点を探してみたいと思います。
第1回は、「愛の文化と美の文化」です。
日本の「父の日」「母の日」や、韓国の「父母の日」には、どちらも感謝の気持ちを込めてカーネーションなどを渡しますが、その時に伝える言葉が違います。
日本は「お父さん、ありがとう」「お母さん、ありがとう」などであり、韓国は「アボジ、オモニ、サランへヨ」(お父さん、お母さん、愛しています)などです。
韓国は主体の立場に立って愛を表現する、「愛の文化」といわれます。
韓国人がよく使う「サランヘヨ」は、自分が主体に立って愛を表現する言葉です。たとえ幼い子供であっても主体に立って愛を表現します。
それに対して、日本は対象の立場に立って美を表現することが多く、「美の文化」といわれます。
日本人がよく使う「ありがとう」は、自分が対象に立って、受けた愛に対して美を返す言葉です。
このように、一言で言えば、韓国は「愛の国」、日本は「美の国」と言えます。
また、韓国語は主体的な表現が多いですが、日本語は対象的な表現が多いのです。
例えば、「いただきます」は「もらう」の謙譲語の「いただく」という受け身の言葉で、「ごちそうさま」も相手に感謝する受け身の立場で表現します。
一方、韓国語では「チャル モッケッスムニダ(よく食べます)」「チャル モゴッスムニダ(よく食べました)」とあくまでも主体的立場で表現します。
また、韓国企業のコマーシャルでは「自尊心(プライド)」と言う言葉がよく使われます。例えば、「民族の自尊心、現代自動車」という表現です。
一方、日本は謙遜、謙虚な姿勢こそ美徳と考えますから、「お客さまは神様です」「日頃のご愛顧にお応えして」「愛されて50年」などと言いながら受け身になって最善を尽くそうとするのです。
これらを見ても、韓国人は男性的な主体意識が強く、日本人は女性的な対象意識が強い傾向性があることが分かります。
贈り物に対する認識の違いもあります。韓国人は下着をプレゼントすることが多いです。
贈り物として一番好んで贈るのが、身に着けるものであり、人が直接肌身に着ける「下着」は近い関係において親愛の情を示します。韓国人は贈る主体の「贈ろう」という情が重要なのです。
韓国では、本当に必要な物を贈らないと意味がないと考えるわけですが、その判断はどこまでも贈る主体の主観の話で、自分が「相手のため」だと思うものを贈ろうとします。
韓国では「物」ではなく「情」を与えるのです。
韓国では与えることについて遠慮することは、マイナスにしかなりません。
日本人は「物」にこだわってしまう上、主体である相手の出方に自分が合わせようとするので、自分の主体的情よりも「もらう相手がどう考えるだろうか」により関心を置きます。
このように、主体側の情を大切にする韓国と相手の情を配慮する日本の違いがあります。
韓国の表現はチマチョゴリ(女性用の韓服=韓国の伝統衣装)の原色の美しさのように、分かりやすく、純粋で、原色的な自己表現です。日本はそれに比べると、消極的で謙虚な美の世界なのかもしれません。
韓国人の「先に与えること」「多くを与えること」という韓国人の情の世界が、日本人には新鮮であると同時に相続したい文化です。
しかし、主体的な愛と対象的な美は、どちらが良いか悪いかではなく、夫婦がペアで一つであるように、互いに調和したら素晴らしい文化となるでしょう。