新 堕落性の構造 86

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』〈1996年3月15日初版発行〉より)

『原理講論』の堕落論の要約──あとがきにかえて④

 次に、人間始祖が天使長と堕落したときに、天使長から受け継いだ悪い性質(これを堕落性本性といいます)をすべての人間がもっています。次の四つがあります。

 第一に、神と同じ立場に立って愛することができなかったということです。天使長は神が愛するアダムとエバを、神が愛するように神と同じ立場で愛することができず、彼らをねたんで、エバを誘惑し、堕落させました。学校で先生が、ある生徒を愛するとき、他の生徒がそれをねたむのがそれです。これは私たちの中に、自己中心、ねたみ、嫉妬(しっと)、憎しみ、相手の喜びを祝福できない、視野が狭い等々の性質となって現れてきます。

 第二に、自分の存在位置を離れるということです。天使長は人間の養育係、すなわち僕(しもべ)の位置にいたのですが、それが人間を支配する位置に立ってしまいました。これは過分な欲望、公私混同、無責任、妥協、激怒という悪い性質として、私たちの中に生きています。

 第三に、主管性を転倒するということです。人間の支配を受けるべき天使長が、逆に人間を支配するような過ちをいいます。主客転倒、下剋上、反逆心、開き直り、強情、不服従、人の話を聞かない、自慢等々は、すべてこの主管性転倒の堕落性本性が現れたものです。

 第四に、罪の繁殖です。エバが堕落したとき、神が、あなたが取って食べたのですかと尋ねると、エバは蛇が食べるように言ったのですと、蛇のせいにしました。これが責任転嫁、すなわち罪の繁殖です。そして、アダムにも罪を繁殖し、人類歴史を破壊してしまったのです。これは、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という心理に現れているように、責任逃れ、言い訳をする、被害者意識をもつ、うそをつく、隠す、面子にこだわる等の堕落性となって、私たちの日常生活にあふれているものです。

(続く)

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 次回は、「『原理講論』の堕落論の要約──あとがきにかえて⑤」をお届けします。

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