https://www.kogensha.jp

ダーウィニズムを超えて 11

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第一章 進化論を超えて
新創造論の提唱

(五)相似性は進化の証拠か、創造の証拠か

◯進化論
 相同器官、痕跡器官、発生反復説は進化を証明するものであるという。そして、これらは進化の証拠として、今なお世界中の生物の教科書に載っている。

◯創造論
 人間は神の似姿に創造された。神は万物を創造して、人間に「万物を治めよ」と祝福された。したがって、人間は万物の主人である。しかしながら、人間と万物は具体的にどのような関係にあるのか、明らかではない。

◯新創造論
 神のロゴス形成において、人間は神の似姿に構想され、万物は人間の似姿に構想された。これを「相似性の創造」という。しかし現象世界においては、万物が先に創造され、人間は万物による環境が整えられてから創造された。

 祖先においては同じ器官であったものが、進化の過程で変化したものを相同器官という。すなわち相同器官は、適応放散(単一の祖先から多様な形質の子孫が出現すること)の結果、外形や機能は異なっていても、基本構造は同じものである。例えば、ヒトの手と、イヌの前足、クジラの胸びれなどがそうだという。また、発生起源は異なるが、環境への適応の結果、同じ外形や機能をもつようになった器官を相似器官という。鳥の翼(前足)と昆虫の羽(表皮)などが、その例である。また、祖先の時代には働いていたものが、進化の過程で働きを失い、退化したと考えられる器官を痕跡器官(退化器官)という。退化も進化の一つのプロセスと見ているのである。

 脊椎動物の胚(はい)を比較すると、発生初期はどれもよく似ていて、鰓裂(さいれつ/えらあな)や尾をもつほか、心臓などもすべて一心房一心室の時期を経過する。進化論者はこれを、動物は個体発生の過程において、進化の道筋(系統発生)をたどりながら、過去から現在までの過程を再現しているのだと主張している。これはヘッケル(Ernst Haeckel, 18341919)が唱えた「個体発生は系統発生を繰り返す」という発生反復説である。

 統一思想によれば、人間は神の形象的実体対象であり、万物は象徴的実体対象である。つまり、人間は神の性質とかたちを直接的に表すように造られ、万物は象徴的に表すように造られている。言い換えれば、人間は神に似せて造られ、万物は人間に似せて造られているのである。神は愛して喜ぶために、神の愛の対象として人間を造られ、人間を喜ばせるために、人間の愛の対象として、また人間の生活資料として万物を造られたのである。

 初めに、神は御自身に似せて創造しようとする人間(アダム・エバ)の表象(イメージ)を心に描かれた。人間の表象とは、人間のデザインのことをいう。そして、その人間の表象を標本として、それを捨象(単純化)し、変形して、それぞれの万物の表象を描かれたのである。

 相似性の創造という立場から見るとき、相同器官や相似器官は進化の証拠ではないのは明らかである。進化論の立場から見れば、ヒトの手は鳥の翼から進化したものということになるが、そうではない。ヒトの手をモデルにして、それに似せて、単純化、変形しながら鳥の翼が考えられたのである(図12)。イヌの前足やクジラの胸びれについても同様である。相似器官に関しても、すべての生物は人間に似せて造られたのだから、生物の器官に相似性があるのは当然である。

▲図1-2 人間を中心とした相似性の創造を示す相同器官

 痕跡器官に関しても同様なことがいえる。すなわち、進化論者はサルの尾が退化して、ヒトの尾てい骨になったというが、そうではない。完全なヒトの脊椎を伸ばして猿の尾が考えられたのである。また胚の成長における類似性も進化論を証明するものではない。生物は人間に似せて造られたのであるから、生物の胚の成長のプロセスも、人間の胎児の成長のプロセスをモデルにして考えられたのである。したがって、これも人間を中心とした相似性の創造を示すものである(図13)。

▲図13 人間を中心とした「相似性の創造」を示す個体発生(出所)ジョナサン・ウエルズ『進化のイコン』(コスモトゥーワン、143頁)。元の図を並べ換えた。

---

 次回は、「人間の誕生」をお届けします。


◆『ダーウィニズムを超えて』を書籍でご覧になりたいかたはコチラ