2023.06.01 22:00
新 堕落性の構造 82
現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
阿部 正寿・著
22. 人生の最大の目的は創造目的を完成し神を喜ばせること
◉神を知って正しい主張を
日本人は宗教的な国民だと思われています。確かに日本には神道、仏教、その他数多くの宗教があり、今宗教法人法改正で論議されている宗教法人は18万余りにのぼるそうです(執筆当時)。しかし、それらの中にはキリスト教を除いて、神が人間と宇宙を創造したという「創造の神」という観念が欠けています。したがって、人間は神によって創造された個性真理体という発想もありません。
個性を発揮する、あるいは自己を表現するということは、神が私を個性真理体として創造された目的(創造目的)を完成することであり、それが神を喜ばせることになるのです。したがって日本人が一般的に、個性に欠ける、または自己表現が下手といわれる最大の原因は、歴史的に創造神という宗教観をもたなかったことにあると思います。
キリスト教を基盤とした西洋文明は、個性の開発や自己表現に優れています。ルネサンスのときのレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、近世におけるガリレオやニュートン、芸術や科学に西欧は多くの天才を生んでいます。彼らは個性を最大限に発揮した人たちといえるでしょう。
残念ながら日本は、世界的な天才を輩出していません。しかし日本人に才能がないということでは決してありません。悲観するには及びません。天才を輩出する社会的、歴史的基盤が醸成されていなかったのです。
それを改革するためには、まず、「創造の神」を国民が受け入れ、人間は個性真理体として創造され、創造目的を完成し、神を喜ばせることが人生の最大の目的であることが理解されなければなりません。
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次回は、「『原理講論』の堕落論の要約──あとがきにかえて①」をお届けします。