2023.05.28 13:00
神の沈黙と救い 28
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「神の沈黙と救い~なぜ人間の苦悩を放置するのか」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
神はなぜ人間の苦悩を放置するのか、神はなぜ沈黙するのか。今だからこそ、先人たちが問い続けた歴史的課題に向き合う時かもしれません。(一部、編集部が加筆・修正)
野村 健二・著
第四章 神の人間創造と罪からの復帰
四 人間の復帰と神の国実現
では、原罪を犯したアダムとエバの子孫として生まれた人間は、一体どうしたらその罪を清算し、「神のかたち」にまで達し、「神の国」を実現することができるであろうか?
メシヤの必要性
まず第一に、原罪を犯したとき、アダムとエバは未成年であって、愛がまだ未完成であったと見なければならない。なぜなら、完成してから堕落したとすれば、神が不完全だということになるが、そのようなことはあり得ないからである。
第二に、人間の始祖アダムとエバが未完成の時に堕落してしまったために、完成した実体とはどういうものか、その基準が分からなくなってしまった。そのため人間が「神のかたち」にまで到達するためには、現実に「神のかたち」を実現した人を模範としていかなければならない。そのためには、初めから無原罪の立場に生まれて、その個性を完成した人間が必要である。そのような人間こそまさにメシヤである。
第三に、原罪を犯したことによって、アダムとエバの子供として生まれた全人類は、サタンの血統の立場として生まれた。そのためイエスは「あなたがたは自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって、その父の欲望どおりを行おうと思っている」(ヨハネ八・44)と言われ、また、堕落した人間を指して「へびよ、まむしの子らよ」(マタイ二三・33)と言われ、洗礼ヨハネも同様、堕落人間のことを「まむしの子ら」(マタイ三・7)と言われた。「へび」とは前にも述べたように、悪魔のことだから、これらの言葉はすべて同じこと、人間の父は悪魔(サタン)、人間は悪魔の子ということなのである。
では一体どうしたら、このサタンの血統から本来の神の血統に戻ってくることができるのであろうか?
「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」「だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない」(ヨハネ三・3、5)と、イエスは生まれ変わりの必要性を説いておられる。すなわち、本来の神の血統に生まれ直すためには、何よりもサタンとは全く無関係の、神からの直接の血統の方がいて、その子供として生み直していただくほか仕方がない。そのような無原罪の個性完成者こそ、これまたメシヤである。
原罪を犯したアダムとエバの子孫として生まれた者は、自力だけではなく、このメシヤの助け(他力)なしに、救い、すなわち、罪を清算して「神のかたち」に達し「神の国」を実現するということはできない。そこで神は、堕落の直後から、このメシヤを送る条件を造るために全力を尽くされた。
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次回は、「神と人間の責任分担」をお届けします。