2023.05.19 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第137回 LGBTの差別禁止や理解増進の法律は必要なのでしょうか?
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「LGBTの差別禁止や理解増進の法律は必要なのでしょうか?」という質問に対してお答えします。
LGBTの人権を巡る法制化の議論には大きく分けて二つの流れがあります。
一つは、「LGBT差別解消法」(通称)です。差別解消法ですが、差別禁止を定めるものです。
もう一つは、「理解増進法」で、理解を広げることが先と考えます。
いずれの法律も思想や信条の自由が奪われるものとなり、強い危機感を覚えます。
まず問題になるのは、LGBTに対する差別とされる範囲が曖昧であることです。
「差別禁止法案」では当事者が日常生活、社会生活を送る上で障壁となる事物・制度・慣行、さらには観念に至るまで解消されるべき対象としています。
つまり、当事者が不快なものは「考え」までも監視、告発の対象となってしまうのです。
現在、LGBT活動家の思想に反する意見はことごとく差別とされ、インターネットで炎上するなど総攻撃を受け、謝罪に追い込まれる事態が生じています。
さらに、LGBT差別禁止が法制化された場合、LGBT差別に対して、反対派から「訴訟が乱発される」という懸念があります。
実際、国内でも、トランスジェンダー女性がトイレ使用を巡って勤務先を訴える裁判を起こしました。
一審判決は原告の主張が認められ、二審判決では一転して職場の主張が認められるなど、専門家の間ですら、どこまでが差別になるのか、明確なコンセプトがつくられていません。
こうした状況の中で、差別禁止の法律を定めることは、類似した訴訟の乱発につながりかねません。
そうなれば、LGBT当事者の要望は何でも受け入れられることになり、一種の特権階級になってしまうわけです。
このようなLGBT差別禁止法の制定は、先行する欧米の事例を見れば分かるように、性に関して保守的な考え方を持つ人々の思想・信条の自由の侵害につながることは明らかです。
フィンランドでは、女性国会議員がSNSで結婚や性の在り方について見解を述べたことで起訴されました。
敬虔(けいけん)なキリスト教徒が、同性愛を罪とする聖句を引用して話したことが、ヘイトスピーチとされました。
英国ではシンクタンクに勤める人がSNSでトランスジェンダーに対する否定的なコメントをしたことでコンサルタント契約を打ち切られました。
このように、LGBT差別禁止が法制化されれば、男女の区別に基づく社会制度、一夫一婦の婚姻、家族制度などを尊重する保守的言論は差別行動、ヘイトスピーチとされ、告発されるようになります。
賠償金を要求されたり、職場から解雇されたりすることもあり得ます。
LGBT差別禁止法は、思想・信条の自由への配慮を明記しない限り、「保守派差別法」ともなり得る法律です。
仮に、「差別禁止法」を盛り込まず、「理解増進法」であればどのようになるでしょうか。
ここにも注意が必要です。
ここで進められる「理解」の内容が推進派の主張そのものになる可能性が高いからです。
現状では、自治体、企業、学校などに招かれる講師のほとんどが推進派の当事者か活動家です。
主流メディアでは推進派の意見や情報ばかりを取り上げており、客観的な報道や自由な言論を欠いたままでの「理解増進」は、推進派の思惑に沿った世論形成につながります。結果的には、「差別禁止」と同様の結果をもたらすことが予想されます。
このようなLGBT差別禁止法の背後には、共産主義思想から派生して生まれた性革命があることを忘れてはなりません。