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家族の絆づくり 267
「成功」と「幸せ」はイコールではない?

ナビゲーター:阿部 美樹

年収が増えると幸福度も上がるの?
 多くの人が「幸せ」を目指し、「成功」するために努力しています。
 希望の学校への入学、優良企業への就職、社会的出世、会社の起業、特技を生かして有名になるなど、さまざまな努力をしています。

 それでは、このような成功を収めている人が幸福度の高い人なのでしょうか。
 当然、そのような人は有意義な人生を送っていると想像できますが、中には大きなお金を手に入れてねたまれたり、権力を手に入れて傲慢(ごうまん)になったり、得意分野に固執して他の事をおろそかにしたり、頑張り過ぎて健康や家族を犠牲にしたりする人もいます。

 「お金はないよりもあった方が幸せ!」と捉えるのは当然です。
 大阪大学社会経済研究所では「年収と幸福度」について研究しました。その結果、年収500万円までは年収と幸福度は比例するようです。しかし500万円~900万円は横ばいで、1500万円を超えると幸福度が下がるという結果が分かりました。

 さらに「2023年世界幸福度ランキング」では、日本は137カ国中47位でした。前年の54位からは上昇したものの、高い位置とは言えません。
 一方、幸福度ランキングの上位はフィンランド、デンマーク、アイスランド、イスラエル、オランダと続きます。どれも質の高い社会保障や教育を提供している国です。

幸福は「優劣」ではなく「喜び」!
 ハーバード大学の75年間にわたる約700人の追跡調査によると「人間の幸福や健康は、年収、学歴、職業との直接的な関係はない。関係があったのは『良い人間関係』だった」と発表しました。

 コミュニケーションが苦手な人は孤独な人生になります。孤独を感じる人は病気になる確率が高くなり、寿命が短くなる傾向が見られます。

 「成功」とは、他人との比較の物差しで優劣が付けられたものです。
 一方「幸せ」とは、自分の物差しで大切なものを大切にすること得られる満足度や喜びです。
 幸せは競争による優劣で決定するものではありません。人生を心から楽しんでいる、喜んでいる状態こそ幸せです。

 自分にとって何が大切なのか。心から喜べることは何か。
 今一度、成功という結果よりもプロセスに注目しましょう。
 幸せの物差しがない人、分からない人は、目先の成功に振り回され、競争に明け暮れて、人生に疲れてしまう可能性があります。