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勝共思想入門 36

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「勝共思想入門」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 同書は、40日研修教材シリーズの一つとして、1990年に発行されました。(一部、編集部が加筆・修正)

光言社・刊

第十章 搾取の本質(その一)

一 搾取理論の力

 共産主義者は「搾取(さくしゅ)」が資本主義経済の仕組みの矛盾であるといっています。搾取のない社会をつくるためには資本主義社会を崩壊させなければならないというのです。なぜかといえば、この搾取の仕組みは、そこが資本主義社会である限り存在するものであって、資本主義と仕組みをそのままにした状態でどれほど改善しても搾取はなくならないと考えているからです。

 労働組合の春闘(労働組合が賃上げをはじめとする諸要求実現のために、全国的に連携して毎年3月から5月〈本書発刊当時〉に行う闘争方式のことです)などで、「合理化反対」というスローガンを見ることがあります。このスローガンも搾取ということを前提としている言葉なのです。

 マルクスが1867年に『資本論』第1巻を著したのですが、その中の第3篇に「絶対的剰余価値の生産」という項目があります。ここから始まるものを「剰余価値論」と一般的に表現しているのですが、または、「搾取理論」ともいうのです。資本主義社会の経済のシステムの中ではどのようにして搾取が行われているかを説明しているのです。

二 資本論での公理

 マルクスによると労働が価値の源泉であり、すべての「商品」は、労働生産物であると主張したのです。これは労働者に対する熱い同情のメッセージといえるものでした。まず、搾取理論はこの労働価値説を基礎に置いているのです。すべての価値は、労働の生産物であるというわけです。とりわけ、商品はすべて労働者の労働によるものであって、その価値の生産には、他の人、つまり資本家は何ら寄与するものではないというのです。

 そして、もう一つの重要な大前提、「労働力は特殊な商品」であると考えたことです。正に数学においての「公理」のように扱われていて、この命題は全く証明の必要のないものとされているのです。それゆえ、この「公理」と思われている部分が間違っているということになりますと、その上に成り立つすべての理論、つまり搾取理論は崩壊してしまうことになるといわざるを得ません。私たちの批判の目はそこに向かうべきなのです。

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 次回は、「搾取の仕組み」をお届けします。

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