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うまくいく夫婦仲の法則 12

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「うまくいく夫婦仲の法則」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 目指すは「夫婦仲良し、円満一家、どんな嵐もどんとこい」! 輝く夫婦、幸せな家庭を築くための秘訣(ひけつ)をご紹介します。

松本 雄司・著

(光言社・刊『二人で学ぶ うまくいく夫婦仲の法則』〈200251日初版発行〉より)

第二章 結婚生活の夢と現実

1 結婚生活の夢

 では私たちはどうでしょうか。最初はどんな気持ちで結婚式に臨んだでしょうか?

 あなたは結婚するときにどんな夢を描いていましたか?「仲のいい夫婦。かわいい子供。豊かな生活。楽しい一家団欒(だんらん)。明るく温かい家庭」。そういう夢を持ちませんでしたか? それが幸せというものです。「いや、我々は結婚式のときから、将来はののしり合い茶碗を投げ合う、そういう夫婦になるのが目標でした」というような人はいないでしょう。

 結婚するときは、誰も離婚なんて考えません。仲のいい夫婦、幸せな家庭を願って結婚するのです。しかし、結婚して1年、2年経っていくと難しいことが起こり始めます。そして、遂にはどうしようもない状態に陥って、離婚に至る場合が少なくありません。

2 離婚の痛手

 ここで、「離婚の痛手」について考えてみましょう。離婚すればもちろん女性は痛手を受けます。今、原稿をまとめているこの日にも目の前のテレビが悲しい事件を報じています。20011217日、夏に離婚して実家に戻っていた31歳の女性が、4歳の娘を殺して、その直後に10階のマンション階段から飛び降りて自殺したのです。実家の祖父母によれば、かなり精神的にも参っていたようですが、余程のことがあったのでしょう。

 しかし、離婚の痛手は妻ばかりではありません。今は、「離婚したら夫が強者、妻は弱者」というような時代ではありません。男性がもっと大きな痛手を受けることもあります。裁判をやっても子供は妻が引き取るケースが多いですし、慰謝料、養育費も多額です。

 数年前離婚した知人から話を聞きました。奥さんは社内でも目立つ人だった。頭が良く仕事は速い。少々プライドが高く言葉のきついところがあるがそれがまた魅力的でもあり、きれいな人だったので男性社員から熱い視線を浴びていた女性でした。結婚式のときは、「遂に、幸せをゲットしたぞ」と夢心地であった。しかし、結婚して1年も経たないうちから言い争いをすることが多くなり、だんだん険悪な関係になっていった。彼は最後まで、何とかうまくやっていこうとしたが、どうしても折り合いがつかず、遂には夫婦の関係が冷え切って、離婚した。

 奥さんとはうまくやれなかったが、子供はかわいいし、情が行くというのです。最初、裁判で調停して別れるときには、ちゃんと自分にも親権があるのだから、子供に会う権利があると認めたはずなのに、別れた後は奥さんが会わせてくれないというのです。それなのに養育費は毎月10万円も送り続けている。最初は我慢していたが、時が経つにつれて子供に対する思いが募(つの)る。それでしょうがないので、もう1回調停に入ってもらって、約束を取りつけて、1カ月に最低1回はお父さんに会わせる時間を取るということを、公的に約束を取ったというのです。

 1カ月に1回、日曜日に、朝の9時から夕方の5時まで子供を任せてくれることになった。仕事は忙しいが、ふっと気がついてみると、子供に会う日を楽しみにして待っている自分に気がつくというのです。今度は何を買ってやろうか、どうしたら喜ぶかなといつも考えて、やっとその日がやって来る。相手の家に迎えにいく。玄関まで奥さんが連れて出る。子供は無邪気です。

 「パパー!」と自分のところに来る。

 「元気だった?」

 「うん、きょうはどこに行くの?」

 「きょうは遊園地に行くよ」

 そうして1日楽しく遊園地で遊ぶ。でも時間は非情に過ぎ去っていく。5時に1分でも遅れたら奥さんが怒る。

 「約束が違うじゃないの、守らないんだったらもうやめる」などと言われる。

 それで時間までに家に連れていく。

 「パパ、バイバイ、今度はいつ?」

 「すぐだよ。今度は海に行こうね」

 そうして別れる。奥さんとはあまり会話はしない。そうして子供とは元気よく別れるのですが、子供がずっと見送ってくれる。

 「大の男が情けない話ですが、角を曲がったら、なぜかいつも泣けてしまうんですよ」

 何と言って励ましてあげたらよいのか。聞いている私も何とも切ない気持ちになりました。

 さらに、次のデータを知ったときに私はショックでした。国立社会保障人口問題研究所が出している「配偶関係別生命表」というのがあります。これは配偶者のある人、死別した人、離別した人、未婚の人の別に、その人たちの余命を調査したものです。

 離婚したとしても、その後のお互いの人生があります。問題は離婚した後に何歳まで生きるかという寿命の問題です。不思議なことに女性は離婚後も、普通の女性と同じ平均寿命まで生きているのです。そういう点では「ご立派」としか言いようがありません。

 しかし、これは40歳代に離婚した場合のデータですが、離婚した男性はしなかった男性に比べて、平均で10年間早死にしています。統計で平均10年間という差はものすごく大きい数字です。10年寿命が縮まっているということです。なぜかな、と死亡原因を見たときに、何となく頷(うなず)けるような気がしました。離婚した男性の死亡原因にも特徴があるのです。配偶者のある男性に比べて、自殺する率は4倍以上、慢性の肝疾患、あるいは肝硬変になる率が3倍以上。これはお酒でしょう。飲まずにおれないのでしょう。また不慮の事故に遭う率、あるいは有害作用などによる死亡率が2倍以上、と特徴があるのです。こういうことを考えると、精神的に大きな打撃を受けるのは男性のほうかもしれません。寿命が10年縮まるのです。そうすると男性にとっても離婚は大きな痛手ということです。

 このように離婚のときには、夫も妻も痛手を受けますが、一番深い痛手を受けるのは言うまでもなく子供です。子供は一生本当に複雑な心境で生活することになるのです。そういうことを考えてみたとき、誰だって離婚は避けたいのです。できたらしたくない、でもどうしようもないというふうになっていくのです。

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 次回は、「結婚生活の勝利と敗北」をお届けします。


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