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うまくいく夫婦仲の法則 11

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「うまくいく夫婦仲の法則」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 目指すは「夫婦仲良し、円満一家、どんな嵐もどんとこい」! 輝く夫婦、幸せな家庭を築くための秘訣(ひけつ)をご紹介します。

松本 雄司・著

(光言社・刊『二人で学ぶ うまくいく夫婦仲の法則』〈200251日初版発行〉より)

第一章 家族についてもう一度考え直そう

11「親子の問題」は「夫婦の問題」②

 今、小学校では「学級崩壊」が進んでいます。長野県は教育に熱心な県と聞いていますが、この前、長野市での講演後、懇親会の席で、ある婦人が話してくれました。その奥さんには小学校一年の子供がいました。そして授業参観に行って、「ああ、これが今世の中で言われている学級崩壊ということなのか……」とまざまざと知ったというのです。先生がちょっと横を向いていると、子供が勝手に二人、三人と席を立って廊下に出ていってしまうのです。しばらくすると帰ってきて、ちょこんと席に座るのです。

 「どこ行ってたの?」

 「おしっこ」

 「ちゃんと手を挙げて先生に言ってから行きなさい」

 「はーい」

 そのうち、今度は男の子がそっと席を離れて女の子にいたずらをする。先生が叱ってもとに戻す。また別の子が喧嘩を始める。そうやって何度も授業が中断されるのです。見ていても先生がかわいそうです。イライラしてきます。

 小学校一年生ですから午前中授業があって、給食を食べて下校です。しかし昼食の時間に何人か男の子がいない。

 「どこに行ったの?」と先生が聞くと、

 「帰ったよ」

 「どうして?」

 「あいつらね、給食当番するのが嫌なんだよ」

 人間として最低守らなければならない礼儀、ルール、しつけというものがなされないままに小学校に上がってきているのです。しかし、先生がしつけからやり直すのは本当に難しいというのです。小さいときにすべき教育ができていないので、言っても聞かないというのです。思い余って体罰を与えれば、子供がお母さんに言うから大騒ぎになって、PTAから暴力教師として突き上げられる。そういうことが重なると嫌になるというのです。

 もう一つ驚いたことがあります。自分の息子のクラスは生徒が33人だというのです。その33人のうち10人が親が一人、すなわち離婚家庭でした。そんなことがあるのでしょうか? しかし、必ずしもそのクラスだけが特殊ということではないようです。今の離婚率の統計と照らすと合うのです。特に、最近10年間は離婚件数が異常に増えています。

 大変な数です。20001年間に法的離婚に至ったカップルが264255組です。法的に離婚はしていないが、別居状態や険悪な関係にあるという夫婦を入れたら、少なくともその倍はあるでしょう。そうすると世の中ではうまくいっている家庭のほうが少ないということになります。これが現実です。この統計から見ても家庭崩壊が加速度的に増えていることが分かります。

 特に最近増えているのが、若い人の離婚で、次が熟年離婚です。若い人たちの離婚の傾向は結婚34年目くらいから急に増えているのが特徴です。若い人たちがなかなかうまくやっていけないのです。それから、熟年離婚も増えています。子供が学校を出たとか、結婚して片づいた時点での離婚です。男性の力を借りなければ食べていけない時代ではない。女性も仕事を持って生きていける時代になりましたし、母子家庭の保護もあるので、「今までは子供のためにと思って我慢したが、これ以上嫌な思いをしてあなたと一緒にいたくありません。私の人生を歩ませていただきます。どうもお世話になりました」と言って出ていくのです。

 今では、離婚の申し立ては、男性側からより女性からの方が2.5倍多いのです。女性が強くなってきた時代です。お父さん方、お互い気をつけましょう。うっかりしていると、あるとき突然三行半(みくだりはん)を突きつけられるかもしれませんぞ。

 さて、話をもとに戻します。今まで様々な実例を挙げながらお話ししてきましたが、私が申し上げたかったのは、要するに、家庭問題のすべての問題の解決のキーポイントは、「夫婦の関係」にあるということです。

 子供の様々な問題に対して、親としてどう接していけばよいのかということに関しては、既に多くの方々が研究され、書籍も出ておりますし、公的機関あるいは民間団体のカウンセラーもたくさんおられますので、ご相談されるのがよいと思います。私の扱いたいテーマは、プライバシー故に、カウンセラーもあえて立ち入ろうとはしない世界――家庭問題の根底にあるもっとも難しい問題、即ち「夫婦仲の問題」です。私はこの問題に焦点を絞ってお話ししたいと思います。なぜかといえば、どんなに子供に対する接し方について指導を受けても、親夫婦が冷えていたり、うまくいかない関係のままでは、本当の良い結果は得られないことが多いし、逆に言えば、いま子供の問題がどんなに深刻な状態であろうが、嫁姑の問題がどんなにこじれていようが、家庭の根幹である夫婦が本当に仲良くなり、信頼し尊敬し合うことができるような関係になれば、そこから、必ず道が見えてくるということを固く信ずるからです。

 そういう前提を踏まえて、これから、結婚とは何か、夫婦とは何か、家庭とは何か、ということを一緒に考えてみたいと思います。

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 次回は、「結婚生活の夢と現実」をお届けします。


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