https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4114

平和の大道 28
七つの案を比較検討

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

第三部会(設計・施工)の報告

 日韓トンネル計画に関わる土木技術的面からの調査研究を担当してきた第三部会(部会長・北原正一・元日本鉄道建設公団青函トンネル調査事務所所長)は1984年から88年までの5年間にわたる研究成果を次のように発表している。

 第三部会が研究した内容は、ルート選定問題、交通需要予測、トンネル断面構造、シールド工法、山岳工法、沈埋工法、沈設工法、水中トンネル工法、人工島、道路換気、防災設備、橋梁、有料道路制、リニアモーターカー、注入工法、立坑計画等、実に多岐にわたっている。

 計画は、ルート、工法、走体等の選択によって多くの組み合わせが考えられるため、その内の代表的な七つの案を比較検討している。

①道路トンネル案
 道路トンネル計画は、自動車の自走が可能なトンネルを目指し、あわせてリニアモーターカーとの併用を提案し、さらに、主要工法として泥水シールド工法を採用する。

 トンネルの勾配は、換気量の低減を考慮して最高2%とし、換気はジェットファン、集塵設備、冷却設備付きの縦流換気方式で、最大換気区間18km、最大換気量は毎秒670.1㎥としている。交通量は、2000年時点で約3万台、大型車の割合は15%と推定している。

 施工法は、当初、山岳工法を中心に検討が進められた。しかし、対馬海峡西水道における海洋ボーリング、音波探査等の結果から、未固結軟弱層が厚く堆積していることが明らかになったので、水圧等を考慮して、できる限り浅部を通過することとし、平均土被りが40m程度の外径14mの大断面泥水シールド工法を検討した。

 また工事に際しては、これまで例のない255mという大深度におけるシールド工法の可能性、特にマシンの耐高水圧性、耐久性やセグメントのシールド工法、継ぎ手構造等が大きな課題である。セグメントはその継ぎ手をボルトで締めるが、どうしてもその継ぎ目から水が入ってくる。それを止める防水用のパッキンのようなものがシールであるが、高い水圧がかかるので、それに耐えきれなくなるのである。また換気冷却、集塵システム、自動車燃料の推移、さらに、換気の吹き出し風速や風圧によるピストン効果、リニア走行による風圧等も基本的な検討課題である。

②鉄道トンネル案
 同案は、一番始めに提案されたもので、全区間を山岳工法で施工するものとしている。当初の音波探査の結果から、対馬海峡には数百m以上の未固結軟弱層が厚く存在していると推定して、トンネルの最も深い箇所を1000m前後としている。走体はリニアモーターカーおよびリニア・カートレインを想定し、断面はほぼ青函トンネル程度で、最急勾配は1000分の70であり、対馬、壱岐では地上に出ず、地下50m程度のところに地下駅を設けることにしている。

 問題点としては、1000mの深度における掘削実績は鉱山等ではあるが、公共的な永久構造物としての建設および利用を考えれば、例がないことである。工事前における地熱、水圧を含めた地質性状の解明は極めて困難である。また、施行中の資材、作業員の運搬、施工性、運用中における消費エネルギーロスの増大等、数多くの難問を解決しなければならない。

③沈埋トンネル案
 同案の特徴は、ルートが各海峡の最短部を選定していることである。工法は、従来の浚渫(しゅんせつ)、埋め戻しによる施工は水深30m以浅の部分のみとし、水深3050mでは函体を海底面下に半分程度埋め、その上から被覆するように埋設し、50m以深では函体を海底面上に設置して被覆盛土するような施工法である。このため、海底下の地質の影響は、他の工法に比べて皆無に近いという利点がある。

④沈設(水中)トンネル案
 沈埋トンネルの最大の問題点が、1億㎥にのぼる膨大な量の埋め戻し土砂の採取、外洋での運搬とその投棄方法、函体の連続的な製造と運搬、及び100m以上(西水道では200m)の大水深下での沈設、接合作業等である。沈設トンネル案では、水深100m以上という大水深下での沈埋トンネルの基礎施工を簡略化し、かつ函体自体に作用する水圧を軽減するために、基礎杭を打ち込んだ基礎とそれにプレハブ的に挿入するジャケットからなるものとし、極力海上作業を軽減、簡易化することを狙っている。函体は海底面上にジャケットに支持された状態で露出しており、いわゆる水中橋梁という構造になっている。

 問題点としては、沈埋トンネルと同様、函体の連続的製造と、外洋における運搬、沈設、接合作業の安全性、確実性、また大水深における基礎杭の施工、その精度等がある。さらに、同種の構造物に対しては、常に航行船舶や潜水艦等の沈没、衝突に対する安全性が論議されており、その対策はまだ確立されていない。

(『友情新聞』2013年10月1日号より)

---

 次回は、「第三部会(設計・施工)の報告」をお届けします。


◆『平和の大道 ―国際ハイウェイ・日韓トンネル―』を書籍でご覧になりたいかたはコチラへ(韓国語版もあります)


★おすすめ関連動画★

ザ・インタビュー 第32回
佐藤博文・国際ハイウェイ財団理事長に聞く その1「地球規模の神文明を創造する壮大なプロジェクト」

U-ONE TVアプリで視聴する


ザ・インタビュー 第33回
佐藤博文・国際ハイウェイ財団理事長に聞く その2「日韓トンネルは、地理と歴史を変える21世紀最大のプロジェクトだ」

U-ONE TVアプリで視聴する


ザ・インタビュー 第34回
佐藤博文・国際ハイウェイ財団理事長に聞く その3「神主義は共生共栄共義主義であり、現実問題を解決する思想」

U-ONE TVアプリで視聴する

---

 U-ONE TVの動画を見るにはU-ONE TVアプリが必要です!
 無料ですので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

ダウンロードはコチラから

Android

iOS

ダウンロード方法について

▲画像をタッチすると視聴できます