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コラム・週刊Blessed Life 260
日本に押し寄せる外国人観光客!

新海 一朗

 渋谷ハチ公前の広場に立って驚かされるのは、外国人観光客の多さです。ざっとその雑踏の半数、いや6割が外国人の姿であるといった印象です。

 日本政府観光局(JNTO)の統計によると、令和4年(2022年)の外国人観光客は約383万人で、その前年2021年が25万人ですから、15倍強の伸びです。
 2020年、2021年はコロナで世界中、人の動きが止まった状況でした。2022年は、コロナの呪縛が、徐々に解かれ始めた年と見てよいわけです。今年はさらに観光客の数が伸びることでしょう。

 外国人観光客の推移を振り返ってみると、2003年が521万人、2010年が861万人、2013年が1036万人、2016年が2404万人、そして新型コロナウイルス感染症が大流行する前年の2019年が3188万人というように、うなぎ上りに増えています。

 コロナで2年間の低迷を経て、昨年ようやく回復の兆しを見せて、今年はコロナ前の水準へと近づいていくものと思われます。ただし、中国人観光客の訪日がそれほど伸びないとなれば、コロナ前の水準に戻るにはもう少し時間がかかるでしょう。中国経済がかつての勢いを失っているからです。

 今や「観光立国」という言葉がリアリティーを持つようになったと言えるくらい、外国人の観光客が日本のあちらこちらに見られる時代です。

 一体、彼らは何を求めて日本に足を運ぶのでしょうか。
 日本の自然の美しさ、食事のおいしさ、人の優しさ、安心・安全な都会、街並みの清潔さ、伝統文化の魅力、アニメにのめり込み、その聖地である日本を一度訪ねてみたかったなど、いろいろなことを挙げて、日本の魅力を語る姿がYouTubeなどで見られます。

 要するに、平和で安全、文化や食事なども十分に堪能できるという理由が圧倒的に多く、まさに世界の人々はそういう社会、そういう文化を望んでいるといったことになるのでしょう。

 外国人観光客が日本の魅力を語るのを聞きながらも、もう一方では、現在抱えるさまざまな問題が各国の指導者たちを悩ませており、一筋縄ではいかない難題の前に世界は呻吟(しんぎん)しているのです。

 貧困、紛争、難民、災害、人身売買、児童買春、児童労働、人種差別、少年兵、地球温暖化、気候変動、森林伐採、ごみ問題など、挙げればきりがないほど多くの課題を抱えて人類社会は苦悩しています。
 日本にももちろん多くの問題があります。日本の現状を手放しで喜べるような話ではありません。

 よくいわれるように、「平和ボケ」しているような暇はありません。それでも、外国人観光客が語るように、日本に魅力を感じる理由の「平和、安心、安全」「文化の豊かさ」「人の優しさ」といったものが、日本の魅力として映るのであれば、諸外国においてはそれらが著しく欠けているか、十分に感じられる社会ではないということであり、日本人が感じている日本とは違うレベルの「平和感」を、外国人たちは日本の中に見いだしているということになるでしょう。

 以上のことを見てきた上で感じるのは、日本に住む者たちの世界平和への貢献といったテーマです。
 日本人は日本に満足することなく、世界の人々が共に喜ぶことのできるような平和世界の創建に積極的に尽力する使命と役割を持っているということなのです。