2023.03.31 22:00
【テキスト版】
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第131回 共産主義の唯物史観の誤りを教えてください
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「共産主義の唯物史観の誤りを教えてください」という質問に対してお答えいたします。
共産主義が多くの人々に信じられるようになった理由の一つは、唯物史観という歴史理論があったからです。
共産主義の唯物史観は、「歴史には法則がある」「人類はいずれ共産主義社会を迎える」といいます。
唯物史観とは、「歴史は闘争によって発展する。その基本的な原動力は生産性の発展である」という理論です。
「宇宙の本質は物質である」という唯物論を社会分析に適用し、社会を「生産関係」という下部構造と「観念形態」という上部構造に分けて考えます。
簡単に言えば、生産関係である「経済体制」が社会の土台となる重要なものであり、その上に「精神的な観念形態」が成立しているに過ぎないという考えです。
「社会の在り方の本質は経済体制(土台)にある」「だから社会を変えるには土台から変えなければならない」、つまり「革命を起こさなければならない」と訴えたのです。
共産主義者はこのような価値観に基づいているので、歴史や伝統を軽視するどころか、否定すべきだと考えて敵視します。
唯物史観によれば人類歴史は以下の6段階に分けられます。
第1段階は、原始共産制社会です。
この時代は、狩猟や採集などで生活し、私有財産はなく、貧富の差もありません。
第2段階は、奴隷制社会です。
くわやすきの性能が向上し、家族で生活するようになり、中には財産を蓄えて勢力を拡大する豪族が現れるなど、支配者が現れ、支配される人たちは奴隷となります。
第3段階は、封建制社会です。
革命によって解放された奴隷は、大土地所有者に農奴として雇い入れられ、領主と農奴で成り立つ社会が形成されます。
やがて農奴が反乱を起こし、封建制社会は崩壊します。
第4段階は、資本主義社会です。
農奴は領主から解放され、労働者になりましたが、莫大な資本を持つ資本家から搾取されるようになります。
第5段階は、社会主義社会です。
労働者による革命によって労働者を代表する共産党が国家を運営し、土地や財産はみんなのものになり、あらゆる産業が国有化されます。
第6段階は、共産主義社会です。
世界中で資本主義国家が打倒され共産主義社会が現れます。
国家が消滅し、労働者は自由になり、人間が社会の完全な主人公になるというのです。
しかし、この唯物史観には多くの矛盾点があります。
第1は、搾取のない原始共産制社会が存在したという証拠がないという点です。
第2は、奴隷制、封建制、資本主義という三つの社会への移行は、西欧に限られているという点です。
第3は、資本主義が十分に発達してから社会主義革命が起きると言っていますが、世界中にそのような地域は存在しないという点です。
第4は、共産主義による「自由の王国」は空想に過ぎないという点です。
現実には、自由が蹂躙された独裁国家が現れたのです。
第5は、時代が転換したといわれる事件は、決して農奴や奴隷の反乱によって起こったものではないという点です。
第6は、物質的な変化が精神性の変化をもたらしたと言いますが、生産関係の発展は「より豊かな暮らしをしたい」という自由意志に基づく欲望が根底にあったはずだという点です。
このように、唯物史観を検証すれば、空想と虚構の論理であることが分かります。
人類歴史は「階級闘争」によって発展してきたのではありません。本心の自由の指向性に基づいて、より良い社会を目指してこそ歴史は発展します。
対立と闘争からは破壊しか生まれません。政府と国民、経営者と労働者の関係は、共通の目的に向かう主体と対象の関係です。
円満な授受作用を行うことで社会や経済が発展します。
以上のように、唯物史観には多くの誤りがあるのです。