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新 堕落性の構造 73

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

20. 自己保全よりも他のために生きる

◉失敗を恐れることは自己中心
 日本人が大企業に就職したがる理由は、安全で倒産の確率が低く、会社の知名度で自分のステータスを示すということのようです。そこには自分のアイデンティティーや主体性というものが全くありません。よく「顔の見えない日本人」と言われるゆえんです。リスクを負わないということは責任をとらないということであり、失敗を恐れるということにもなります。失敗を恐れるということは、自分の安全だけを考えるという自己中心性からくるものです。

 聖書の創世記にあるごとく、人間始祖のアダムとエバが堕落した時には自分たちのことだけしか考えませんでした。もし彼らが「それを取って食べると、きっと死ぬであろう」(創世記二・一七)と言われた神の言葉を破れば、自分たちの子孫がどのような結果になるかを考えたならば、到底堕落することはできなかったでしょう。堕落人間は、このようなアダムとエバ、そして天使長が犯した罪のゆえに、自分のことしか考えない自己中心性をもつようになったのです。

 自分の安全のみを考えてリスクを冒さないということは、同時に発展もないということです。なぜなら、初めから安全なものなど存在しないからです。人間が生きること自体が、リスクと冒険の連続なのです。要は失敗してもそこから何かを学んでいくことが成功の秘訣なのです。最近の日本では、リスクを冒すことが悪であるかのごとき考えをもつ向きが多いのは、社会が衰退しつつある証左といえましょう。

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 次回は、「自分よりも全体を優先して考える」をお届けします。


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