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新 堕落性の構造 72

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

20. 自己保全よりも他のために生きる

◉米国はパイオニア精神で発展
 ハイテク競争において、日本は米国に後れを取っています。最大の理由は、米国ではベンチャー企業の数が日本より圧倒的に多いことです。日本が特に後れているのはコンピュータのソフトウェアですが、アメリカのマイクロソフトはベンチャー企業の雄でしょう。マイクロソフトのビル・ゲイツ社長の1994年の所得は、なんと5千億円でした。米国では94年度に70万のベンチャー企業が興りました。日本はたったの4万5千社です。比較になりません。この差が日米のハイテクの差なのです。

 米国では、学生のときから将来のベンチャー企業を目指す人が多く、就職するのも将来独立するための経験を得るためです。それに対し日本の学生は、大企業に就職し終身雇用制の温床のなかでぬくぬくと過ごすほうを好み、親や親族もそれを誇りにします。脱サラなどは、よほどの変わり者か、脱落者だと見られます。このような社会的風土のなかではベンチャーは興るはずがありませんし、銀行もそんな危なげな企業にお金など貸しません。すべてが安全第一で保身的なのです。

 米国は“ハイリスク・ハイリターン”の企業風土ですが、日本は“ローリスク・ローリターン”のそれです。そもそも企業自体が一種の“カケ”ですから、企業にリスクはつきものです。リスクを恐れるようになったら、企業精神は死んでしまいます。

 米国は、パイオニア精神で発展してきました。アジア諸国も、日本を激しく追い上げています。日本人が、鶏口となるよりは牛後につくことを望む限り、日本は世界の大勢に後れてしまうことは、火を見るより明らかです。

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 次回は、「失敗を恐れることは自己中心」をお届けします。


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