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家族の絆づくり 261
「弱さ」というメリット

ナビゲーター:阿部 美樹

「強さ」「弱さ」の両方に価値がある!
 多くの人は強い人になりたいと願います。「世界最強のアスリート」「史上最強の頭脳」などのように、華々しく注目されるのは「強さ」です。

 しかしもっと強い人が出てきたら、たちまち「弱い存在」になってしまいます。強さとは絶対的なものではなく「相対的概念」だからです。

 そして比較対照して能力や価値を評価することを続けていくなら、常に「勝者と敗者」を生み出すことになります。
 それよりも、誰もがナンバーワンという「勝者」になれる世の中であれば、みんなが幸せになることができることでしょう。

 そこで、注目したいのは「弱さ」です。
 強さと弱さというと、「善悪」や「優劣」で捉える傾向がありますがそうではありません。これは光と影のように「陽陰」の関係です。光が善で、影が悪ではないでしょう。

 光は「明るさ」や「温かさ」があるので多くの人から好まれます。反対に、影は「暗さ」や「冷たさ」があるので多くの人から嫌われる傾向があります。しかし環境が変わり真夏になったら影が好まれ、光は避けられる存在になります。ですから、強さと弱さは両方に価値があるということです。

弱みを受け入れ克服した有名人
 本来、「強さと弱さは補完し合う関係」です。強くなりたいのであれば、強さについて考えるのと同じくらい弱さについて考えることが大切です。弱さを認識すれば、自然と強さが浮かび上がってくるからです。

 「バスケットボールの神様」といわれたマイケル・ジョーダンというスーパースターがいます。
 彼は4歳まで言葉が話せず、7歳まで文字が読めないという発達障害がありました。
 そのような自分の弱さを受け入れて、弱さを克服するために「心の耳で音を聴く」努力をし、真の強さを手に入れました。
 このように、「弱さをばねに強さを手に入れる」という人が他にも多くいます。

 「目が見えない」という弱さを、鋭敏な耳の感性を高める努力をすることによって、健常者以上に社会で活躍する人がいます。
 「人付き合いができない」という弱さがある人は、人間関係の難しさを人一倍悩み、考えることでしょう。しかし人間関係に悩んだという経験を通して、人の悩みを理解することができる「優秀なカウンセラー」になれるかもしれません。

 金銭的な不安、病気や事故への不安、将来への不安など、「不安を感じやすい」という弱みはない方が良いと考えられがちです。
 しかしその不安を強く感じる人ほど、それを克服する方法を考え、行動することでしょう。そのようにして、社会の便利さ、安心・安全を高める発明や発見がなされてきました。

 ですから、「弱み」を否定的に捉えたり、なくそうとしたりするよりも、その「メリット」を考えることが大事です。
 「弱み」はやがて「強み」に変わる可能性があるのです。