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新 堕落性の構造 67

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

19. 視野の狭さは自己中心から

◉触らぬ神にたたりなし
 今ではいささか旧聞に属しますが、1994年中ごろ、インドでペストが流行しました。むろん日本政府は、日本人のインド旅行への自粛を呼びかけました。ところがインド進出に熱心な欧米のビジネスマンたちはペストをものともせず、インド旅行を取りやめませんでした。インドへの経済進出に意欲的なシンガポール航空は、ほかの航空会社が運航を取りやめたのに、依然として続けていました。

 ところがこのペスト騒動をよく調べてみると、感染したのは辺境のグジャラート州の田舎都市スラートの住人で、50人の死亡者のうち、真性患者はたった一人だったということでした(深田祐介著『最新東洋事情』)。

 ここに日本人の性格がよく現れているように思います。すなわち物事を深く見極めないで、とても皮相的で、視野が狭いということです。面倒なことには巻き込まれたくないし、触らぬ神にたたりなしという態度です。

 地下鉄サリン事件があったあとのテレビインタビューで、ある通行人が「もう地下鉄に乗りたくありません」と言っていました。その気持ちは分かりますが、そうかといって事件後も毎日サリンをまくほど犯人も愚かではないと思いますし、警察もそれを許しはしないでしょう。

 それにしても、マスメディアによる画一的で皮相的なオウム真理教報道には全くウンザリさせられます。これも、かつてトイレットペーパーが品不足になるというのでスーパーに走った狂乱ぶりや、一昨年(1994年)の米不足とやらで米の買い出しに狂奔したのと似ているように思われます。

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 次回は、「物事を深く考えない日本人」をお届けします。


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