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「性解放理論」を超えて(72)

性の自己決定論の主張

 「統一思想」すなわち「神主義」「頭翼思想」によって生きるのか、神の言(ことば)を否定する思想を選択するのか…。
 「『性解放理論』を超えて」を毎週月曜日(予定)にお届けします。

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大谷明史・著

(光言社・刊『「性解放理論」を超えて』より)

七 日本の性解放理論への批判
(二)性の自己決定論

(1)性の自己決定論の主張
 社会学者の宮台真司は、1992年頃から、援助交際を素材として「性の自己決定論」を展開したと言います。性行動は、倫理・道徳や、親や教師などによって、規制されるものでなく、自分の判断で決定すべきであるというのが、その主張です。彼は次のように主張します。

売買春一般や、青少年の性行為一般を「いけない」と断定しないこと
 年齢には議論の余地があるとはいえ、私は、刑法が性的同意年齢として認めている13歳以上、児童福祉法が児童と規定している18歳未満の男女(以下、青少年)について、これを相手として買春行為を行うことを禁じる法的規程について、条件付き賛成の立場である。

 その条件とは第一に、社会的法益ではなく個人的法益の保護を目的とすることを明確化すること。第二に、売買春一般や、青少年の性行為一般を「いけない」と断定しないこと。第三に、性的自己決定能力上昇の教育プログラムが現に実行されていること、である(※5)。

単純売春(非管理売春)は合法化するべき
 わが国における議論は、(1)「売春」の是非、(2)「低年齢の性」の是非、(3)「低年齢の売春」の是非、(そして(4)「性虐待」の是非)の問題を、混同させている。……まず(1)の「売春」の是非について。結論的には私は、個人対個人が自由意思で行う単純売春(非管理売春)については、1970年代以降のヨーロッパの流れに従って、早急に合法化するべきだと考える。理由は幾つかあるが、「家父長制的差別」の弊害が最も大きい(※6)。

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※5 宮台真司、他『性の自己決定原論』紀伊國屋書店、1998261
6 同上(26263

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 次回は、「性の自己決定論の理論的背景」をお届けします。


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