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「性解放理論」を超えて(71)

ジェンダー・フリー思想の理論的背景

 「統一思想」すなわち「神主義」「頭翼思想」によって生きるのか、神の言(ことば)を否定する思想を選択するのか…。
 「『性解放理論』を超えて」を毎週月曜日(予定)にお届けします。

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大谷明史・著

(光言社・刊『「性解放理論」を超えて』より)

七 日本の性解放理論への批判
(一)ジェンダー・フリー思想

2)ジェンダー・フリー思想の理論的背景

①ポストモダン・フェミニズムによる男性中心の言語と文化の否定
 ポストモダン・フェミニズムを代表するのがクリステヴァ、イリガライ、シクスーですが、彼女たちは男性中心主義の言語──男根ロゴス中心主義の言語──の内部では、女は表象不能なもの、すなわち、女は価値の低いものとして扱われている、と告発しました。そこでポストモダン・フェミニズムは、男根的言語体系を攪乱(かくらん)するとか、男根的言語体系の外に、独立した女性的言語体系を確立しようとしたのです。日本の「ジェンダー・フリー」思想は、そのようなポストモダン・フェミニズムの影響を色濃く受けているのです。

②クィア理論によるジェンダーと性の攪乱
 クィア理論の代表的な思想家がバトラーです。彼女によれば、カテゴリーは本質的に不完全なものであって、ジェンダーはパフォーマティヴなものにすぎず、ジェンダー・アイデンティティは錯覚、幻影であり、存在しないと言います。それは正に、ジェンダーからの解放を唱えるジェンダー・フリー思想を支えるものです。

 お茶の水女子大学元教授の竹村和子は、バトラーの代表作『ジェンダー・トラブル』について、「本書を読むことは、血沸き肉躍るスリリングな体験だったのです。『ジェンダー・トラブル』は出るべくして出た。そしてこのような書物が世に出ることを待ち望んでいた読者は多かったと思います(※4)」と、感激的に語っています。

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※4 上野千鶴子、他『上野千鶴子対談集・ラディカルに語れば』平凡社、2001158

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 次回は、「性の自己決定論の主張」をお届けします。


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