2023.01.31 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 252
キリスト教と日本㉛
「信徒発見」の奇跡
ナビゲーター:石丸 志信
長崎に移ったフューレ神父は、フランス人居留区内に天主堂を建設する計画を進めた。プティジャン神父がこの事業を引き継ぎ、1865年2月に大浦天主堂は完成した。
パリ外国宣教会は、250年におよぶ弾圧下にあっても信仰を保持しているキリシタンがいるのではないかと信じ、この二人の宣教師たちを送ってきたのだった。
完成した聖堂は、26聖人の殉教地、西坂の丘を見渡せる高台にあり、正面入口には「天主堂」と漢字で表記した看板を掲げ、日本26聖人記念聖堂として奉献した。これが現存する日本最古の西洋式教会建築「大浦天主堂」である。
献堂式からひと月たった3月17日の昼下がり、老若男女およそ15人の集団が天主堂の見物にやって来た。
プティジャン神父は彼らを招き入れ、祭壇の前で祈っていると、聖堂内を物珍しそうに見物する者たちの中から一人の婦人が神父に近づいてささやいた。
「われらのむね、あなたのむねとおなじ」
私たちは浦上の者で、村人のほとんどが、同じ信仰を持っていると告白したのだ。
すでに琉球で2年間日本語を学んできたプティジャン神父は、彼らの語ることの意味をすぐさま理解した。
婦人は続けて「サンタマリアの御像(ごぞう)はどこ?」と尋ねた。
神父は彼らを脇祭壇の前に案内し、そこに安置されている聖母子像を見せた。その前に集まった浦上の村人たちは心から喜んだ。
バスチャンさまの預言どおり、7代後にローマ教皇から派遣されたカトリック司祭が再びやって来たのだと彼らは確信した。
神父も、浦上をはじめ長崎地方には長き弾圧下で耐えてきたキリシタンがいたことを心から喜んだ。
これは、キリスト教史上でも奇跡的な「信徒発見」の出来事として世界を驚かせることになった。
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