https://www.kogensha.jp

勝共思想入門 22

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「勝共思想入門」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 同書は、40日研修教材シリーズの一つとして、1990年に発行されました。(一部、編集部が加筆・修正)

光言社・刊

第六章 国家について

 国家論は、共産主義にとって大変重要な意味をもち、いわば要(かなめ)といえるものです。さて、私たちは、国家をどのようにとらえているのでしょうか。

 1983年に総理府が、11カ国の青年を対象にして意識調査を行いました。その中で、国に対する意識を調べる項目があり、それに対しての回答が出されています。日本の青年たちは、「自分の国に対して誇りをもっているか」という質問には、70パーセント程度の人たちが「ある」と答えています。「自分の国のために役立つことをしたいですか」という質問には、30パーセント程度の人々が「はい」と答え、その割合が下がっています。「自分の国のために犠牲になることができますか」という質問になると、「はい」と答える人が一割を切ってしまうという結果が出されており、参加11カ国中、日本が最も低い割合となっています。

 総じて、国家に対する意識は極めて低いといえます。第一の質問に対する回答で「はい」という人が多いのは、経済的な意味での発展ぶりを意識してのことと思います。

 現在(1990年)日本は、国民総生産(GNP)で世界第二位、国民一人当たりでは、円高により、実質世界第一位といってよいでしょう。大変なものです。

 とかく、日本で愛国心の低下が叫ばれ、国防意識が低いといわれているのも、国民の意識が国家など、公のものにはほとんど向かず、自分の生活の安定のみを考えるところにその原因があるのです。特に、未来の日本を担う青年における意識の低さは、注目せざるを得ないほどになっているのですから、このままでは今後ますます日本国民全体の愛国心や、国防意識は低くなる一方と思います。

 国に対する意識の必要性は、単に防衛力等軍事問題のみの問題ではありません。世界経済が全体として調和ある発展をするため、その国がどのような政策をとるかということが大切になってくるからです。政府のみの問題ではなく、国民全体の協力が必要となっています。

 国際経済は、マージャンのようなものである、とよく言われます。一国の貿易黒字は、相手側にとっては赤字となるのです。浮いているパイがないように、全部が黒字の国際経済は考えられないのです。大幅な黒字国が存在するということは、大幅な赤字国が存在するということです。そして、どんな国でも、長期間の、大幅な赤字には耐えられないのです。世界の中で最大の黒字国が日本となっており、赤字国のため国家として何らかの対応をやらざるを得ない状況なのです。

 このような状態の中で、現在の日本の国家に対する意識の低さは、大きな不安を将来に投げかけることになります。

---

 次回は、「共産主義思想の国家観」をお届けします。

◆「勝共理論」について動画でご覧になりたいかたはコチラから!