2023.01.08 22:00
進化論から新創造論へ 15
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「進化論から新創造論へ」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
人間の祖先は本当にサルなのか? 統一思想からの提案は、科学的真理のように装ってきた進化論の終焉(しゅうえん)を告げる!
統一思想研究院 李相軒・編著
現代進化論(ネオダーウィニズム)は間違っている
(6)新ラマルク主義の台頭
-生存競争を否定する今西錦司の「棲(す)みわけ」理論-
ダーウィンの自然選択説は、マルクスの唯物論と完全に軌を一にするものでした。生物は自然環境(物質)によってつくられたというのが、その主張だったからです。この自然選択説を説くダーウィニズムによって否定されたラマルク主義が最近、再び見直されるようになりました。
また病理学者、臼渕勇(うすぶちいさむ/1915-)は、ガンの化学療法で、薬剤に対しガン細胞が耐性化して、同一の薬剤の長期使用が困難になるというよく知られた事実を解明するために、実験を行いました。その結果「ガン細胞が薬剤と接触している間に、これに適応して形質の変化がおき、さらにこれが遺伝性となった(*27)」という見解が証明されたといいます。彼は自分が行った実験と、ウサギやラットに糖尿病を発症させる岡本耕造の実験の成果に基づいて、「獲得形質の遺伝」が証明されると結論しました。
臼渕が主張する内容は次のようになります。
①生物は環境の変化に適応するように、自主的に習性の変化をきたす。
②それに適応した形質の変化がおきる。
③形質の変化が遺伝性となる。
40年以上にわたってネオダーウィニズムを批判し続けてきた今西錦司は、生物には目的性や主体性があるとして「主体性の進化論」を主張しています。今西によれば、生存するために、より適した個体が選択され残っていくという形で種が変化していくのではなく、種はある危機に遭遇した場合に、種全体として比較的短期間のうちに変わるべくして変わるといいます。「種は、環境に適応するため、たえずみずからを作りかえることによって新しい種にかわっていく(*28)」のであり、“方向性を持った突然変異”によって生物は進化するのです。
今西はまた四種類のヒラタカゲロウの幼虫が川の流速の違いに対応して棲みわけていることを発見し、「棲みわけ」理論を提唱しました。ダーウィンのように、個体同士が生存競争を行って生存に適したもののみが生き残るのではなく、近接した種同士は生活の場を棲みわけて共存しているという内容です(図13参照)。生物の主体性を重視する今西の進化論は、ラマルク主義の系列の中にあると見ることができます。
最近の分子生物学では、個々の種はいろいろと変化することができる可能性を、自らの中に遺伝的に始めからプールしていると見るようになりました。そして生物の必要に応じて、プールされている形質が現れてくるというのです。これは、生物がいろいろな環境に適応する能力をあらかじめ備えているものとして理解することができます。
*27 臼渕勇『進化論を見直す』講談社、1985年、83頁。
*28 今西錦司『進化とはなにか』31頁。
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次回は、「遺伝暗号の起源について」をお届けします。