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新 堕落性の構造 60

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

17. 自己の位置を欲しがる

◉自己増殖する権限拡大
 かつて英国のパーキンソンという人が、官僚というものは自己の存在を確保するために次々に組織を拡大していくという「パーキンソンの法則」というものを発表しました。

 歴史的に見ても、官僚というものは必ず肥大していくという事実を証明しています。人類歴史上、最大の官僚国家は中国です。巨大国家中国は、中央集権を確立するために多くの優秀な人材を必要としました。南北を統一した隋の文帝は、才能本位で人材を登用するため、科挙(かきょ)という官僚試験制度を始めました。これにより、中国の統一と発展は大いに進みましたが、同時にその副作用ともいうべき、官僚による民衆の搾取は目を覆うばかりとなりました。

 中国では官僚のほかに、宮廷内で皇帝に仕える巨大な宦官(かんがん)の群れがありました。宦官とは宮廷内で働くため去勢された男性たちのことで、不思議と日本には存在しませんでした。ともかく、彼らは皇帝の日常生活を世話しながら、次第に権力を握り、多くの弊害をもたらしました。彼らが猖獗(しょうけつ)を極めた明代には、なんと10万人の宦官が紫禁城内にいたといいます。

 日本には中国ほどひどい官僚の害はありませんでしたが、その本質は同じです。
 官僚が仕事をするときは、①前例があること、②予算があること、③十分の時間があること――が条件であるといわれます。

 彼らは前例のない新しいことや冒険はしません。失敗して責任をとることは絶対せず、安全なことだけをやるわけです。そして自己の位置だけは確保するのがその本性といえます。

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 次回は、「位置を欲しがる天使長」をお届けします。


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