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新 堕落性の構造 59

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

17. 自己の位置を欲しがる

◉日本市場の閉鎖性の原因
 日本の市場開放をめぐる、欧米からの外圧が激しいこのごろです。彼らの言い分は日本の市場の閉鎖性ですが、それを作り出している原因は、官僚による規制です。

 卑近(ひきん)な例を取り上げてみましょう。もしあなたがどこかの欧米諸国で、車にガソリンを入れるため、ガソリンスタンドに乗り入れるとしましょう。そこでは「ハイ、いらっしゃい」と三人ほどの若者が駆け寄ってきて、フロントガラスをふいてくれたり、灰皿をきれいにしてくれることはありません。あなたは自分で給油し、事務所まで行ってお金の支払いをしなければなりません。日本のようなサービスはない代わりに、ガソリン代は非常に安いのです。

 日本でもセルフサービスにすれば、人件費が省けるだけ安くできるのです。しかし日本でこれを阻んでいるのが、なんと消防法という法律です(編集部注:本書執筆当時の状況)。つまりこの法律に、スタンドの給油ホースを握ることができるのは「危険物取扱資格」を取得した者だけ、という規定があるためだそうです。一般のドライバーがセルフサービスを行うために「危険物取扱資格」を取得するなどということはバカげたことであり、また現実的でもありません。一番簡単な解決法は、こんな規制をなくしてしまうことです。

 ところが、それがそうはいかない理由は、それを規制することによって仕事を得ている官僚たちがいて、それを手放さないからです。一度手に入れた位置は、絶対に手放さないというのが官僚の本質なのです。

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 次回は、「自己増殖する権限拡大」をお届けします。


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