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新 堕落性の構造 55

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

16. いじめの出発は愛の減少感

◉日本全体がいじめ体質
 今いじめが社会問題になっていますが、これは別に新しい問題ではありません。田舎では昔から「村八分」というのがありましたが、あれは大人のいじめです。

 私は宗教団体の宣教師として英国に15年間滞在していました。私の娘のY子は、当時ロンドンの日本人学校で学んでいました。そこに学ぶ子供たちは銀行や商社のエリート社員たちの子弟で、親も豊かで頭の良い人たちです。Y子が一番嫌なことは、友達が「あなたのお父さんはどんなお仕事しているの?」、「どんな車に乗っているの?」とか聞かれることでした。

 さらに嫌いなことは、学校の先生が授業中に「皆さん、この前の休日はどこに行きましたか?」と尋ねることです。子供たちは「はい、両親とスイスに行きました」、「はい、私は親とスペインに行ってきました」と答え、どこにも行けなかった私の娘は、黙ってうつむくほかなかったのです。もっとショックだったのは、友達が家に遊びにきて、「Y子ちゃんのおうちってビンボウなのね」と言ったことでした。Y子はその後、だれも家には連れてこなくなりました。

 日本の子供たちがこまっしゃくれているというよりは、親たちがそういうことを話しているから、子供はそれを反映しているにすぎないのです。英国人の間では、そういうことを気にする必要はほとんどありませんでした。やはり日本人というのは人の目ばかり気にする恥の文化の社会で、「村八分」の根がそこにあり、これが「いじめ」の体質です。いじめは、社会と学校そのものの中にあるのです。

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 次回は、「いじめは不満のはけ口」をお届けします。


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