家族の絆づくり 243
人生に期限を設ける思考

ナビゲーター:阿部 美樹

1年後、この世にいないとしたら…
 人はやるべき大切なことであっても、時間があるとなかなか取り組めないものです。しかし、締め切りが近づくなど、切羽詰まると短い時間であってもあっという間に成し遂げることがあります。

 同じように、人生もまだまだ時間があると考えると大切なことになかなか取り組めませんが、残りあとわずかと思った瞬間に取り組めるものかもしれません。

 人生はいつ終わりが来るか分からないものですが、案外まだ時間があると漠然と考えてしまう傾向があります。しかし若くても突然の死が訪れる場合もあるように、自分では分からないものです。

 そこで、「もし1年後、この世にいないとしたら」という意識を持つとどうでしょうか。人生に期限を設けると、意識の持ち方や姿勢、生き方に変化が生じるのではないでしょうか。


本当にやりたいこと、やるべきことの発見
 限られた時間をどのように過ごすかを考えてみましょう。

 「人生において本当に大切なことは何か」「やりたいこと、成し遂げたいことは何か」「やらなければ悔いになることは何か」「周りの人が自分に期待していることは何か」などをできるだけたくさん書きだしてみましょう。
 そしてその内容に優先順位を付けてみましょう。

 そのように、残された人生の歩み方を意識するようになると、生きがいについて深く考えるようになります。
 「いつかやりたい」と思っていることを先延ばししていると、結局実現しないまま人生は終わってしまいます。
 期限を決めると、その行動に躊躇(ちゅうちょ)していた心に挑戦しようとする切実さや意欲が湧いてくることでしょう。

 また、「配偶者が、父母が、子供が1年後にはこの世にいないとしたら」と考えるとどうでしょうか。
 「家族との関係性は満足しているのか」「家族に伝えたいことはないのか」「やりたいこと、実現したいことはないのか」などについて考えると、先延ばしにしていたことに気付いたり見いだしたりすることができます。

 人生に期限を決めて逆算して考えてみると、今やるべきこと、やりたいことが見いだされます。
 それを実践することができれば、有意義な人生へと近づいていけるのではないでしょうか。