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第5部 近世に活躍した宗教人
②ジョン・ウェスレー

(光言社『FAXニュース』通巻1132号[2006225日号]「キリスト教信仰偉人伝 李相軒先生のメッセージに登場した人々」より)

岡野 献一

 『FAXニュース』で連載した「キリスト教信仰偉人伝」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部が加筆・修正)

4万回の説教、多彩な救霊運動

 啓蒙思想が台頭し始め、神への帰依を説く宗教心が軽んじられつつあった18世紀。英国でメソジスト派を興し、信仰復興運動をしたジョン・ウェスレー(17031791)。彼は「世界はわが教区なり」という意識に燃え、生涯で4万回の説教をし、宣教のために32万キロ(地球の約8周)以上にもおよぶ旅をしました。

▲ジョン・ウェスレー

明け方3時、祈祷会で強烈な聖霊体験

 ジョンの父サムエルは英国国教会の牧師で、母も信仰心が篤く、彼は片言を話せる時から、起床と就寝時の「主の祈り」をし、聖書輪読や家庭礼拝を守るなど、幼少期から信仰教育を受けて育ちました。

 ジョンは19人の兄弟中15番目。第18子である弟のチャールズ・ウェスレーは数多くの賛美歌を作曲した人物で、後にジョンの宣教の良き協力者となります。

 さて、ジョンは17歳でオックスフォードに入学。持ち前の勤勉さで優秀な成績を収めます。23歳の時、その学才が認められてギリシャ語講師に起用され、同時に学生会長として学生指導の任にも当たりました。このころから、彼は毎朝4時に起床。毎日欠かさずに日記を付けるという習慣は、一生涯を通じて貫かれました。

 1728年、25歳の時です。ジョンは父の教区に副牧師として赴任。翌年オックスフォードに帰った時、彼の不在中に入学した弟チャールズが2人の友人と共に「神聖クラブ」という小グループをつくっており、ジョンに指導してくれるよう求めてきたのです。

 この親睦会は、当初勉学を助け合うための会でしたが、次第に宗教的になり、宗教書の訓読、および祈祷会をもち、その厳正なる生活態度から、メソジスト(几帳面)とあだ名されるようになるのです。

 やがて彼らは慈善事業を展開。刑務所伝道、貧者、病者の支援活動を行うようになります。そして1735年、32歳のジョンは北米ジョージア州の宣教のために渡米。2年余りの海外宣教は失敗に終わって、帰国します。

 しかし渡米の船中で、モラビア派の人々の、死をも辞さない強い信仰に接した彼は、後に回心の体験に導かれることになるのです。

 帰国後の38年にはドイツのモラビア派の共同生活村を訪ねて交流します。再び英国に帰った彼は、伝道の最前線に立つのです。そして39年元旦、同志ら7人と祈祷会をしていた明け方3時、強烈な聖霊体験をします。

 その後、ジョンによる信仰復興は目覚ましく進展します。救霊心に燃える彼は野外へ繰り出して伝道を展開。彼の説教を聴く者は聖霊に満たされ、見えざる神の手に打たれて倒れる者が続出。回心が急速に広まっていきます。

病者、未就学児童、失業者のため慈善事業

 彼は朝4時か5時に説教し、正午か午後に1回、さらに夕方か夜にも説教をし、伝道を推進するのです。

 彼が生涯に成した救霊運動は、大きく見て「説教」「慈善事業」「著作活動」の3つの分野に集約されます。

 彼は生涯4万回を超える説教によって多くの者を回心に導きました。また、地上に神の国を来たらせたいという願いから「慈善事業」を展開。失業者のための職業斡旋所を開設。労働者のために金融機関の貸付金制度を整備。病者のために診療所、未就学の貧しい児童のために教育の場を設置。刑務所改良、奴隷解放などを手がけました。

 そして、彼は生涯において230種もの著作を残します。彼の三大著作は「日記」「説教集」「新約聖書注解」です。そのほか、メソジスト派の信徒の教養を高めるための教育教材として、優秀なキリスト教文学から抄訳を注釈付きで編集、50巻からなる「キリスト教文献集」を出版するのです。彼は文字通り霊肉共の内外の救いを人々に与えていったのです。

 彼は晩年まで健康に衰えを見せず、88歳で天寿を全うします。彼の葬儀には1万人が参列しました。

 彼の超人的な生き方は、再臨主であられる真のお父様の生涯路程を彷彿(ほうふつ)とさせます。神様の解放と人類の救いのため、救世と救霊に燃える真のお父様は、無数の説教をされ、世界平和のための事業を展開。そして多くのみ言集を著されました。まさに神が共におられてこそ残された業績なのです。

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 次回は、「ジョージ・フォックス」をお届けします。