家族の絆づくり 21
発達障害によるコミュニケーションの課題

ナビゲーター:阿部 美樹

身近な人も障害者?
 家族や職場の同僚の中に、遅刻が多い、片付けられない、集中できない、空気が読めないという特徴を持つ人はいないでしょうか。その人はただ単に怠けているのではなく、「発達障害」を持っている可能性もあります。
 発達障害は、かつては未成年の問題だと思われてきましたが、「大人の問題」として認知され始めています。発達障害は先天性の脳の特性により、「できること、できないこと」に偏りがある障害です。

 主に三つの種類があります。
 独特なマイルールがあったり、人を不愉快にさせる言葉を無意識に使うなど、コミュニケーションに問題が生じる「ASD(自閉スペクトラム症)」。衝動的な言動や聞き逃し・物忘れなどの不注意が目立つ「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」。そして、知的に問題はないのに読み書きや計算が困難な「LD(学習障害)」です。

症状を理解してサポート
 深刻な問題を抱える重度の発達障害者、発達障害の特徴のあるグレーゾーンの人たち、本人は気付かないけれども周囲から発達障害と見られている人など、程度もさまざまです。
 PC(パソコン)に向かう作業が多いIT企業や研究に没頭できる研究職で活躍するなど、特定のジャンルにすごい能力を発揮する人であっても、コミュニケーションが必要な立場になった際に発達障害に気付くケースが多くあります。

 気になる人は専門外来で診断してもらうことが必要です。家族や周りの人も障害の特徴を理解して温かく見守り、サポートする姿勢を持ちましょう。