家族の絆づくり 20
子育てを通して親が成長する

ナビゲーター:阿部 美樹

出生数減少で、親になる人も減少
 昨年1年間の出生数は前年より3918人減少し、946060人でした(厚生労働省61日公表)。一昨年も3万人近く減少し、初めて年間100万人を割り込み、今年で2年連続の大幅減となりました。
 死亡数は134433人(前年比32685人増)となり、人口の自然減は前年より6万人以上多く394373人となりました。
 このように、日本では未来を象徴する子供たちの姿が少なくなっています。日本ではかつて子だくさんの親を多く見かけましたが、現在は様変わりして、「親になる人が減っている」とも言えます。

子育てと親育て
 「子育て」という言葉は、一般的には「親が子供を育てる」という意味です。しかし、子育てを通して親も成長するのですから、「親育て」にもなっています。子供のおかげで親になり、子育ての苦労を通して親心が育まれます。
 例えば、出産の苦痛と喜び、赤ちゃんに対する慕わしさと重労働の育児、学童期の期待と心配(不安)、思春期の希望と悩みなど、子育ては喜びだけでなく、数多くの辛労辛苦(しんろうしんく)の連続です。
 しかし、子供の世話をしながら、親には「ために生きる愛」が育まれます。子供のことを心配すること、悩むことを通して「広く豊かな心」が育まれます。
 子育てとは、親の心に「愛される幸せ」よりも「愛する幸せ」を育もうとする親育てです。