2022.10.18 12:00
平和の大道 3
高規格道路は平和のインフラ
平和のインフラ・ローマ街道②
皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
同プロジェクトの提唱者である文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁夫妻の世界平和ビジョンを知る上でも欠かせない論文となっています。
なお、同書は主に『友情新聞』(2011年6月号から2017年5・6月合併号)に連載された記事をもとに構成されています。
Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!
佐藤 博文・著
平和のインフラ・ローマ街道②
「ローマ街道」についてまず述べよう。B.C.312年、財務官アッピウスによるアッピア街道から始まり、約500年間に、敷石完全舗装の幹線道路8万km、砂利舗装の支線を含めて15万kmに達した(今の日本の高速道路〈国道〉の総延長約8千kmと比べておよそ20倍の規模)。
対面通行可能な2車線(幅4m強)で、両側に歩道(幅3m)、排水溝が付き、直線で平垣、石橋やトンネルもある。特筆すべきことは、碁盤の目のようにネットワーク化されて、ガリア(今のフランス)やイベリア半島などの属州にもイタリア本国と同様の内容のものが帝国全土に張り巡らされたことである。
付属施設として、常時数頭の馬をプールしている「駅(スタティオネス)」、一日の行程(60~70km)毎に多数の旅行者のために諸々の施設をすべて備えた「宿駅(マンシオネス)」、距離数表示のマイルストーン、旅行地図、乗合馬車、「軽食堂(タベラ)」等があった。
さらに国営の郵便制度も完備し、通行料は無料で、通行の安全も確保され、女性が一人旅をしても安全であった。今の日本の「マンション」の起源もローマ街道の旅行者用の宿駅にあった。
これを見ていると、とても2000年前の世界の出来事とは思えず、給油所や休憩所(サービスステーション)が備わった今の日本の高速道路をついつい連想してしまう。すでに、現代の高速道路ネットワークシステムと同様の高度な交通システムが広範囲にわたって高密度に存在していたのである。
産業革命後に鉄道が出現するまで、ローマ街道を凌駕する交通システムは存在しなかったと言われるほどだ。時代を超えて機能することができたローマ街道はそれほどシステムとして優れていたと言うことができる。今の日本は戦後になって高速道路網が整備されてきて、ようやく古代ローマ帝国の道路システムに追いついてきたと言える(ローマ帝国では都市部においてはすでに道路は100パーセント舗装、上下水道完備、水洗トイレ完備であった)。
ここでの主題は、ローマ街道というハードのインフラがいかにして「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」で表された「世界平和」の実現に貢献したかということを明らかにすることである。ローマ街道は、当初は、戦時にローマ軍団を高速度に移動するために純粋に軍事用の完璧なものとして造られたが、これを万人が利用できるように民間にも開放し、多角的に活用した。今の時代に当てはめてみれば、軍事用として開発されたインターネット技術が民間にも開放されたようなものと考えれば理解できる。
ローマ街道網の確立は、当然のことだが、まず外敵の侵入を防備する高度な「安全保障体制」の確立を意味した。それに加え、否それ以上に、ローマ街道の持つ高規格性とネットワーク化と汎用性のため、輸送量の飛躍的な増大による流通機能が高度に発展した。その結果、広範な帝国全域で経済の平均的な発展がなされ、属州の辺境地帯でもこの恩恵を受け、生活が豊かになり、文明化されていった。地中海一帯が経済の高度に発展した「広域経済圏」となった。
帝国全土の経済が発展したため、戦争の主要原因である経済問題の多くが解消するようになった。このようにしてローマ街道が、結果として、「平和」実現に大きな効果をもたらし、「パクス・ロマーナ」実現のための「平和のインフラ」となったのである。
注目すべきは、覇権主義的、純軍事的な目的で道路が造られたとしても、国際的高規格の道路のネットワークを広範囲にわたって構築していけば、高規格道路それ自体が持つ経済と文化の飛躍的な発展という現実的な波及的効果により、結果的に、戦争をすること自体が無意味なものとなり、平和な世界が現れざるを得ないという歴史的実例が存在したということである。
21世紀の今日の世界においても、文鮮明総裁の提唱された「国際ハイウェイ構想」で示された高規格の国際的な高速道路を世界的な規模で確立することができれば、ローマ帝国の歴史で実証されたように、国際ハイウェイが世界平和のインフラとして世界平和を現実的に実現する推進力となることが可能であることを世界の人々が理解するようになることを確信する次第である。
(『友情新聞』2011年8月1日号より)
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次回は、「国際ハイウェイの一般的効果」をお届けします。
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