2022.09.26 17:00
コラム・週刊Blessed Life 234
プーチン大統領、さらなる動員命令に署名!
新海 一朗
ロシアのプーチン大統領は、9月21日、国営テレビを通じて国民に演説し、ロシアによるウクライナ侵攻に対して、戦闘継続のために「部分的な動員命令」に署名したことを明らかにしました。
この動員命令にロシア国内はもちろん世界が戦慄(せんりつ)を覚えています。
「部分的な動員命令」とは何か。
ロシアでは、現役の正規軍は90万人ですが、軍務経験のある者を「予備役」と呼んでいます。その数は、年配層まで含めると2500万人に及ぶといわれています。
5年以内に兵役を終えた者に限って言えば、推定200万人いて、この200万人が予備役とされています。
その気になれば、まだ鉄砲の撃ち方を覚えている人たちを200万人は動員できるということです。
今回の部分的な動員命令は30万人となっていますが、その30万人の予備役を招集する計画を打ち出したわけです。
部分的動員は数カ月にわたって漸次行われる予定です。
プーチン大統領は、ロシアは長期戦に備えていると話していましたが、ウクライナ側の反攻と正規兵の消耗が激しく、部分的動員に頼らなければ長期戦への備えができないほど劣勢であることを証明したことになります。
負けるわけにはいかない戦争だということでしょう。
ロシアの国営通信は、ロシア政府が動員令を発するのは第2次世界大戦中の1941年以来のことであると伝えました。
このような兵士増強の計画の直接的な背景は何か。
西側の軍事アナリストらの見方によれば、ウクライナ東部のハルキウ(ハリコフ)においてウクライナ軍の大規模な反撃がロシア軍を追い込み、守勢に回ったロシア軍は事実上、撤退を余儀なくされたことを重く見て、部分的動員命令を下すに至ったと見ています。
言うまでもなく、武器や兵士の数において、ウクライナ軍を圧倒するロシア軍です。しかし7カ月間戦ってきた結果を振り返れば、ウクライナ軍の奮闘を前にロシア軍は敗色の濃い戦いをしてきたと言う他なく、当初のロシア軍による短期占領作戦は吹き飛んでしまったと言わざるを得ません。
これを容認できないプーチン大統領は、さらなる動員作戦へと踏み込む以外になくなったのでしょう。
現在、取り沙汰されている「追い込まれたプーチンは何をするか分からない、核に手を出す可能性がある」という話は、最も危険なシナリオとして、それを簡単に否定することはできません。
そうなると、これは最終的には、米国の出方、米国の判断とロシアのプーチンの生き残り戦略との間で交わされる壮絶な神経戦、心理戦において、どういう展開が待っているかと見るしかないでしょう。
とにかく、戦術核であれ、戦略核であれ、使用に踏み切れば(米国が先に核を使う選択肢はほぼゼロである)、そこから一気に核の応酬から核戦争へと発展する可能性を否定できません。
「第3次世界大戦」という言葉は、この核使用の段階において成立する言葉です。
核戦争に突入する事態は絶対に避けなければならないという人類共通の「鉄の掟(おきて)」を、ロシアのプーチンは肝に銘じなければなりません。
今後、ロシアが人類社会の中で生きていくためにも、核に手を出してはなりません。プーチンは大統領としての自分のメンツではなく、ロシア国民が世界に歓迎されて幸せに生きていくようにしなければなりません。