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コラム・週刊Blessed Life 235
世界は終末的状況を経て新時代に入る!

新海 一朗

 イタリアに初の女性大統領が誕生しました。極右政党「イタリアの同胞」党首であるジョルジャ・メローニ氏です。移民やEU(欧州連合)に対して、懐疑的な態度を取っているメローニ氏でありますから、英国の態度と似ています。

 これから、ますますEUの結束力が問われることとなります。ヨーロッパの混迷ならびに右旋回の動きを示す大きな出来事になりました。
 EUが採ってきた政策に対し、不満を持つ国が多くなっていることは事実であり、EU加盟国の足並みがそろわなくなっていることを、イタリアの選挙結果ははっきりと示しています。

 ロシアとヨーロッパを結ぶ天然ガス輸送の海底パイプライン「ノルドストリーム2」がガス漏れ発生の事故を起こし、大騒動になっています。
 ガス漏れ事故を巡って、ロシアと米国が激しく対立し、それぞれがパイプラインの破壊工作を行ったと非難合戦を繰り広げる状況ですが、今のところ、真相は分かっていません。

 いずれにしても、ロシアから輸送される天然ガスに頼ってきたヨーロッパ各国にすれば、パイプラインの破壊は深刻です。ロシアにしてもガスの輸出ができなければ、国家財政に打撃を受ける出来事です。
 EUとロシアは対立するのか、あるいは協調するのかという選択肢の中で、今回のガス漏れ事故が、何者かによって引き起こされた可能性は高いと見るべきです。

 米国の国内状況は深刻です。118日の中間選挙を目前に、民主党、共和党のそれぞれの陣営は激突する構えです。
 今回の中間選挙はバイデン大統領とトランプ前大統領の「代理戦争」であるといわれるほど、両陣営の対決は白熱したものになるのは必至です。
 長引くインフレで、バイデン政権の支持率は7月には37.5%まで落ち込んで、その後、やや持ち直して40%を超えるところまで回復させています。

 米国での大きな論議は、人工妊娠中絶権です。624日、最高裁はこれを事実上、否定しましたが、このことが政治的求心力を共和党から民主党へシフトさせていると見られます。中絶の権利を剥奪された人々が、投票所へ向かい、民主党票を増やすというのです。

 リベラルな価値観(移民政策推進)と保守的な価値観(家庭の価値の遵守)が対立しています。
 中間選挙の結果は2024年の大統領選挙に大きな影響を与えることでしょう。

 ロシアがウクライナへ侵攻したことによって国連常任理事国であるロシアが平気で戦争を起こすということが分かり、世界の平和と安全を国連(特に安全保障理事会の5カ国の常任理事国)が守るという神話は崩れました。

 今後、国連改革、とりわけ拒否権を持つ常任理事国の在り方について検討する声が大きくなると思われます。これは国連そのものの在り方を見つめ直すという時代圏に入ったことを意味します。

 現在の世界は、ひと言で言えば、「混沌(こんとん)」であり、この中で、人類は「産みの苦しみ」を味わっています。

 この終末的状況を現在、人類は通過中であり、清算すべきものは清算し、遺すべきものは遺し、新しく加えるべきものは加え、「共生」と「共栄」と「共義」の理想を実現する新時代へ進まなければなりません。
 人類は、自由な創造性、高い倫理性、誠実な責任性、こういった徳(英語でvirtue、ギリシャ語でアレテー)をまとって新時代に入らなければならないのです。