2022.09.15 22:00
新 堕落性の構造 45
現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
阿部 正寿・著
13. うわさは罪の繁殖行為
◉うわさは悪を広める堕落性
堕落人間に付きもののうわさですが、どんな堕落性本性から生じるものなのでしょうか。
聖書によると、神がアダムとエバをつくって、「善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」(創世記二・一七)と命じました。しかし、狡猾(こうかつ)な蛇がいてエバに、「あなたがたは決して死ぬことはないでしょう。それを食べると、あなたがたの目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神は知っておられるのです」と誘惑し、エバは実を取って食べ、アダムにも勧めました。これが堕落でした。
その後、神から咎(とが)められるとアダムは、エバが悪いと言い逃れました。このように罪を繁殖したことが四番目の堕落性です。みな自分の罪を認めることを拒否し、他のせいにすることによって、自分の安全を図ろうとするのです。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の出発はここにあるのです。うわさは罪の繁殖行為です。
人が、ある人に嫉妬(しっと)や減少感を感じるときに、その人の言動のあることないことに尾ひれをつけて言いふらして、自分に同調させ、自分の立場を守るとともに相手をやっつけるためにうわさを流し、罪の繁殖を行うのです。しかしいくらうわさを流したとしても、それが事実でないとするならば、時とともに次第にバケの皮がはがれて、結局はうわさを流した人の人格が問われるようになり、皆からの信頼を失うことになるだけです。それが裁きというものです。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということです。
---
次回は、「うわさに勝つ道」をお届けします。