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新 堕落性の構造 44

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

13. うわさは罪の繁殖行為

◉うわさの起源
 では、うわさはどのように起きるのでしょうか。「火のない所に煙は立たない」とあるように、うわさには全く根拠がないわけではありません。ある事実はあるのです。伝言遊びというゲームがあります。20人くらいが輪になって座り、一番端の人に、例えば「白いハトが来た」と伝え、次の人にこれをささやき、次々に伝えていくと最後の人にきたときは、「黒いカラスが逃げた」というように変わっていくのです。各々が自分の考えや思いでこれを変形させるからです。

 芥川龍之介の作品に「藪(やぶ)の中」というのがあります。「羅生門」という題で映画になったので御覧になった方も多いと思います。それは3人が事件を起こすのですが、みな言うことが違うのです。事件は一つなのに見解が異なるのです。

 もしあなたが隣の子供が泣いているので慰めようとしていたのに、それを見ていた別の人は、あなたがその子をいじめて泣かせたと知らせることもあるのです。あなたをよく思わない人は、そういううわさを流すかもしれません。

 人はうわさをする存在であり、人の口に戸は立てられません。

 中国の諺(ことわざ)に「李下(りか)に冠を正さず」というのがあります。李(すもも)の実がなっている木の下で冠が歪(ゆが)んだのを直そうとしているのに、それを見た人はその人が李の実を取ろうとしていると疑うので、そのような場所では行動を慎むようにという教えです。確かに心すべきことです。

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 次回は、「うわさは悪を広める堕落性」をお届けします。


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