新 堕落性の構造 43
うわさの恐ろしさ

新 堕落性の構造 43

　現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説！ 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信（予定）でお届けします。

阿部 正寿・著

13. うわさは罪の繁殖行為

◉うわさの恐ろしさ
　この世にうわさは付きものです。人間が堕落している限り、うわさはこの世から消えることはないでしょう。

　かつてこういうことがありました。マクドナルドのハンバーガーは世界中に広がっており、日本でも繁華街でマクドナルドの店がない所はありません。このハンバーガーに犬の肉を使っているといううわさが流れたことがありました。売り上げは一時減ったと聞いています。私も時々食べることはありますが、犬の肉という感じはしませんし、それなりにおいしいと思いました。もちろんうわさだけです。

　もう一つ。これもアメリカのP＆Gという世界一の洗剤メーカーですが、会社のマークに三日月に女性が腰かけているのを使っていました。ところがこれが、レバレンド・ムーンが経営している会社だといううわさが出て、会社はそのマークを変えてしまいました。全くたわいないうわさです。しかしうわさはそれだけの力があるのです。

　うわさに悩んだのは現代人だけでなく、古来みな同じでした。イエス・キリストもこれに悩まされました。二千年前イエス・キリストは、病気で苦しむ多くの人を奇跡で癒（い）やしました。そのためイエス・キリストのところへは何千という人々が来ました。それをねたんだパリサイ人たちは、「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ」（マタイ9・34）といううわさを流しました。人類の救済のために来たイエス・キリストとしては、どれほど悔しかったことでしょうか。

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　次回は、「うわさの起源」をお届けします。