2022.09.07 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A
第19回 障がい者福祉編①
障がいにはどのような種類があるのでしょうか?
ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)
医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。
今回から「ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A 障がい者福祉編」がスタートします。
高齢者福祉編と同様、質問にお答えするQ&A形式で進めてまいります。
初回は、「障がいにはどのような種類があるのでしょうか? また、日本国内にはどのくらいの障がいのある人がいるのでしょうか?」という質問にお答えします。
「『障がい』という言葉を一度も聞いたことがない」という人はいないと思います。
しかし、いざ「障がいとは何か?」と問われると、分かっているようでも明確に答えることが難しいという人も多いのではないでしょうか。
障がいとは何かという質問に対する答えとして、一番分かりやすく、また共通認識を持ちやすいのは法律で定められた内容だと思います。
法治国家である日本では、障がいは法律で規定されていて、一般に障がい者というのは法的に障がいを有していると認定された人のことを指しています。
障がい者の定義は、障害者基本法の中に示されています。その第二条第1項で、障がい者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」と定義しています。
ですから日本において障がいというのは、①身体障害、②知的障害、③発達障害を含む精神障害の三種類だと定められているということになります。
法的に言えば、障がいというのはこの三種類であって、これ以外にはありません。
例えば、障がいのあるお子さんをお持ちの親御さんに「お子さんの障がいは何ですか?」と聞くと、「ダウン症です」とか「脳性麻痺(まひ)です」という答えが返ってくることがあります。
ダウン症や脳性麻痺というのは疾患名であって障害名ではありませんから、厳密に言うと、それは正しい答え方ではないということになります。
先ほど紹介した条文の中に「精神障害(発達障害を含む。)」とありました。発達障害に関しては、別に発達障害者支援法という法律があるのですが、分類上は精神障害の中に入っています。
発達障害の詳しい内容については、別の機会にご説明したいと思います。
法律的な内容についてもう少しお話しすると、同じ障がいでも年齢によって対応する法律が違います。
例えば、18歳未満の人は児童福祉法という法律によって、三つの障害を含む児童福祉全般にわたる内容が規定されています。
また65歳以上の人の障がいについては、老人福祉法や介護保険法で具体的な内容が定められています。
最後に、日本国内に障がいのある人がどのくらいいるのかということですが、内閣府は厚生労働省の各種調査に基づいて、身体障害者が約436万人、知的障害者が約108万2千人、精神障害者が約419万3千人いると推計しています。
ただし精神障害者については、医療機関を利用した精神疾患のある患者数を精神障害者数としておりますので、障害者基本法で定義されているような、「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある」という人以外も含まれている可能性があります。
三障害の人数を単純合計すると963万5千人となり、これは日本の人口の約7.7%に当たります。
もちろん複数の障がいを併せ持っている人もいるので、実際は単純合計できるものではないのですが、障がいのある人は決して少なくないということはご理解いただけるのではないかと思います。