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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

第18回 高齢者福祉編⑰
超高齢社会、日本のこれから~「高齢者福祉編」終了に当たって

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 これまで16回にわたって高齢者福祉編をお届けしてまいりましたが、いかがだったでしょうか。

 高齢者人口の割合が21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれるようになりますが、日本は他国に先駆け、2007年に既に超高齢社会に突入しています。

 高齢化があらゆる分野に大きな影響を与える問題として認識されてから既に長い年月がたっていますが、私たち日本の家庭連合においても、少子高齢化は避けて通ることができない重要な課題となっています。

 では、家庭連合はこの課題に対し、どのような観点から取り組んでいくのでしょうか。

 私たちは少子化問題を解決する代案として祝福結婚の推進を行い、高齢化社会における理想の姿として、祖父母、父母、子女の三世代が共に暮らす家庭の実現を掲げています。
 祝福結婚を通じた三代圏理想の完成こそが少子高齢化問題に対する私たちの答えだということです。

 しかし、いくら崇高な理想を掲げたとしても、実現できなければ意味がありません。
 私たちは「祝福結婚を通じて幸せな家庭を築き、三世代が共に暮らす」という理想を現実のものにしていかなければならないのです。

 そのためには、み言を学んだり、祈祷の精誠をささげたりすることももちろん重要ですが、それとともに理想実現を妨げている課題を具体的に解決していく取り組みが必要になります。

 その具体的解決のために活用できる武器が、まさに福祉の内容です。
 だからこそ、私たちは福祉についてよく学ぶ必要があるのです。

 これまでの講座を通して、介護保険制度が始まって以降、日本の福祉制度がさらに充実し、私たちが活用できるものもたくさんあることをご理解いただけたと思います。

 そして、ただ内容が豊富になったというだけではなく、高齢者のかたが住み慣れた地域で、尊厳ある人間としての本来的生活を送れるようサポートする福祉に変わりつつあるということもご説明しました。
 この考え方は、私たちが永遠の世界に旅立つ前に送るべき生活の在り方とも矛盾がないと思います。

 私たちが家庭の重要性をしっかりと理解し、国や行政の助けも借りながら三代圏理想実現のために具体的な努力をし、さらに教会員同士が助け合って生きていけば、そこに心情文化共同体が築かれていくでしょう。

 それが初回の講座で申し上げた四つの「助」のバランスが取れた状態だと思います。

 家族の福祉的機能としては、①夫婦の複合的役割分業、②子供の出産・養育、③夫婦のパーソナリティーの安定などが挙げられてきましたが、それに加え、社会福祉士である末吉重人先生は、そこに四つ目の機能として④老親(ろうしん)扶養を入れるべきであると主張されています。

 もちろん、各家庭に固有の事情や環境があり、三世代が共に暮らすのは難しいということもあるでしょう。
 現実的には、老親を扶養する負担の大きさと子女のキャパシティーをはかりに掛けて判断しなければならないことも多いと思います。

 しかし、福祉制度の利用で負担を軽減しつつも、老親に対して子供が責任を持つ、という姿勢は維持すべきだということなのです。

 少子高齢化が進んだ社会であるからこそ、私たちが理想的な家族の姿を示すことができる良い機会だとも言えます。

 ただ一緒に住めば良いというのではなく、三代が愛と信頼の関係で結ばれ支え合う家庭を築いていくことが理想世界実現につながるのだと思います。
 そして、その手助けを福祉がしてくれるのだと信じています。

 今回で「高齢者福祉編」は終了となります。
 これまで視聴してくださったかたがたに感謝申し上げます。
 では、「障がい者福祉編」でまたお会いしましょう。