2021.08.15 17:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A
第17回 高齢者福祉編⑯
福祉用具をレンタルすることはできますか?
ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)
今回は、「母が退院して、自宅で介護をすることになりました。足が悪いため、車いすが必要なのですが、レンタルすることはできるのでしょうか?」という質問です。
高齢者や要介護者の身体機能が低下して、日常生活が困難になったときに手助けしてくれる道具のことを福祉用具といいます。
福祉用具を効果的に使うことで、自立ができるようになったり、介護者の負担を軽くしたりすることができます。
介護保険で福祉用具のレンタルや購入ができますので、利用を考えてみられたらよいと思います。
まず、介護保険でレンタルできる福祉用具は、「車いす」「介護ベッド(特殊寝台)」「手すり」「スロープ」「歩行器」など13種類あります。ただし、介護度によっては利用できない用具もあります。
所得額によって定められた介護保険利用者負担の割合に応じ、費用の1~3割の自己負担で借りることができます。
次に、購入する場合ですが、介護保険で購入できる福祉用具は「腰掛便座」「特殊尿器」「入浴補助用具」などの5品目です。年度内10万円までは1~3割の負担額で購入でき、年度が替われば更新される仕組みになっています。
介護保険で福祉用具を利用するには、都道府県や市区町村の指定を受けた「福祉用具貸与事業者」に依頼する必要があります。
指定事業者には専門知識を持った「福祉用具専門相談員」が配置されていて、利用者の希望や体調を聞いて、環境や状況に合った適切な用具を提案してくれます。
福祉用具の利用を検討する際は、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
まずケアマネージャーと一緒にケアプランを作成し、福祉用具事業者を選びます。
専門相談員が自宅を訪問してくれますので、アドバイスを受けながら、利用者が使いやすい用具を選定します。
サービス開始後は、定期的なメンテナンスやアフターサービスもしてくれます。
福祉用具は、利用者の体の状態に合わせて、調整や選び直しが必要なので、専門相談員は定期的に訪問し、不具合がないかなどを確認することが義務付けられています。
福祉用具は要介護者が毎日使用するものですし、事故などが起こらないようにしなければなりませんので、専門家のアドバイスを受けて最適なものを選ぶのが望ましいでしょう。
レンタルの場合は、必要な期間だけ使い、使い終わった後の置き場所に困ることもありません。アフターサービスをしっかり行ってくれるので、交換や修理なども依頼できるというメリットもあります。
一方で購入する方がメリットが大きいという場合もあると思いますので、どちらにするかは状況に合わせてお考えください。
なお、福祉用具のレンタルより大掛かりなものになりますが、住宅の改修も介護保険の対象となります。
主な改修工事としては、手すりの取り付けや段差の解消、扉の取り換えや撤去、便器の取り換えなどが挙げられます。
こちらの利用限度額は20万円で、原則1回限りですが、合計金額が限度額以内なら、複数回工事を行うこともできます。
住宅改修を考える場合もケアマネージャーに相談します。
流れとしては、工事開始前に市区町村に申請書や改修が必要な理由書などを提出し、審査を受けた後、着工となります。
完了後にも報告書を提出し、介護保険対象だと認められると、20万円を限度に工事費の7割から9割が返金されます(償還払い)。
可能な限り、ご本人が望む生活を実現できるよう、このような制度をうまく活用されたらよいでしょう。