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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

中国共産党大会、1016日開幕と決定

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、829日から94日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 ゴルバチョフ元ソ連大統領が死去(830日)。中国、党中央政治局会議で党大会日程が決まる(30日)。中国、国連の新疆(シンチャン)報告書公表に反対表明(31日)。独首相、ロシアの天然ガスなしで越冬可能と発言(91日)。感染再拡大、中国各地(成都など)で厳戒態勢(1日)、などです。

 中国共産党中央政治局会議が830日、第20回共産党大会を1016日に開幕すると決定しました。
 党大会は1921年結党後、20回目となります。会議では、習近平国家主席の政治スローガン「共同富裕」について「引き続き着実に推進する」方針を確認しています。

 党大会の10月開催決定は、党内の人事調整がスムーズに進んでいるためとみられます。習近平体制の出発となった2012年は11月開催でした。

 新指導部人事の調整が加速しています。慣例の「68歳定年制」が、現在の常務委員7人のうち、習氏(69)を除く6人に適用されます。結果として2人が引退することになるとみられています。

 現在の共産党最高指導部(7人の常務委員)の顔ぶれは、以下のとおりです。

・習近平:総書記、国家主席、69
・李克強:首相、67歳(来年には首相退任)
・栗戦書:全人代常務委員長、72歳(引退か)
・汪洋:人民政治協商会議主席、67歳(次期首相候補)
・王滬寧:中央書記処書記、66
・趙楽際:中央規律検査委員会書記、65
・韓正:筆頭副首相、68歳(引退か)

 栗戦書、韓正両氏は引退するとみられます。

 注目されるのは次期首相候補です。
 李克強氏は常務委員には残りますが、首相は引退することとなります。
 二人の人物を挙げることができます。

 まず汪洋人民政治協商会議主席(67)です。最近官製メディアで活発な活動が伝えられています。818日には、習氏のスローガンである「共同富裕」の実現を訴えました。

 次に、胡春華副首相(59)です。現在は政治局員ですが、昇格するとみられます。
 李克強氏と同じく、胡錦涛前国家主席の政治基盤だった党の青年組織「共産主義青年団(共青団)」出身。実務能力に定評があります。

 習氏は共青団を権力掌握の障害とみなし、一時期、弱体化を図ったことがありましたが、胡春華氏は7月、党機関紙への寄稿文で、習氏の名前や指導思想に50回余り言及し、「忠誠表明」と注目されています。

 胡春華氏は現在59歳です。習氏に続く世代の指導者の一人である胡氏が首相に就けば、習氏の後継者含みとみなされ、影響力が強くなります。それを警戒する声もあり、首相ではなく筆頭副首相などに起用されるとの観測も出ています。いずれにせよ注目です

 8月の「北戴河会議」の結果、李首相を領袖(りょうしゅう)とする共青団派がかなりの優位に立って影響力を拡大している様子がうかがえます。

 評論家の石平氏は、91日付産経新聞の「石平のチャイナウォッチ」で、共青団派とその背後の長老たちが、習主席の共産党総書記続投に同意したのと引き換えに、習主席は今後の政権運営における共青団派の影響力拡大と、時期指導部人事における共青団派幹部の優遇を認めたのではないか、との見解を述べています。

 人事とともに、今回の党大会の焦点は、習氏を毛沢東のように「領袖」であると党規約に明記するかどうか、習氏の指導思想「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」の名称を、より習氏の印象を強める「習近平思想」に短縮するかどうかが焦点となります。


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