世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

中韓国交正常化30年、尹政権の米重視姿勢明確に

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、822日から28日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 中国が古屋圭司議員ら訪台に対抗措置示唆(23日)。韓中国交正常化から30年(24日)。ローマ教皇が訪朝の意向か(25日)。米沿岸警備隊、ソロモン諸島に給油の寄港できず(26日)。ロシア軍の占拠続く原発に再び攻撃(27日)、などです。

 824日、中韓は国交正常化から30年を迎えました。同日、両国で記念式典が開催されました。
 北京とソウルでの同時開催となりましたが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、朴振(パク・チン)外相が代読した祝辞で「相互尊重の精神」で関係を発展させたいと述べました。

 「相互尊重」は、対等な関係を意味する言葉です。尹氏は、中国への過剰な配慮が目立った文在寅(ムン・ジェイン)前政権の路線を明確に修正しています。
 一方、中国中央テレビによれば、習近平主席は祝辞で、「尹大統領との戦略的な意思疎通を強め、妨害を排除し、両国関係のより素晴らしい未来をつくり上げたい」と呼びかけたといいます。
 語られた「妨害」との表現に米国への対抗心がにじみ出ています。

 韓国と中国は1992年に国交を樹立しました。朝鮮戦争で戦って以来、両国は敵対していましたが、冷戦終結の流れに乗って関係を正常化したのです。
 中国は韓国から投資拡大を見込み、韓国には中国市場に進出する利点がありました。そして何よりも、冷戦時代にソ連と中国を後ろ盾にしていた北朝鮮が「孤立」に追い込まれたことも、統一戦略上、韓国の利点になったのです。

 しかし両国の関係は変化しました。これまで韓国の歴代政権は、中国の影響力行使による北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に期待し、対中外交を重視していましたが、今やその雰囲気はありません。
 中国は、北朝鮮の弾道ミサイル発射に反対するどころか、5月には国連安保理の対北朝鮮制裁決議案に拒否権を発動したのです。

 さらに、台湾に対する威嚇、日本の尖閣諸島周辺での挑発など、地域の安定を脅かす行為も続けていることを踏まえれば、韓国政府が中国との関係を見直すのは当然といえるでしょう。

 89日の中韓外相会談では、中国側が米韓同盟強化に苦言を呈したことに対して、韓国側は「(中国とは)和して動ぜずの精神で臨む」と応じています。一定の距離を保ち、是々非々の政策を取るという意味でしょう。

 米中対立が激化する中、尹政権は米国重視を鮮明にしています。軍事や経済分野での中国との摩擦が強まっていくでしょう。
 尹政権は、韓国南部・星州のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備地を整備する計画を進めることを今月末までに明らかにします。中国の強い反発が予想されます。

 中国政府が今後、韓国企業の中国での活動制限や韓国製品の不買運動など、経済的な揺さぶりをかける可能性があり、人的交流の制限もあるでしょう。しかし韓国は、米国支持の立場をより鮮明にせざるを得ないでしょう。

 米国が構想する日本や台湾との半導体供給網の枠組みに韓国が加わることは、具体的な選択肢となるといわれています。
 日米韓、そして台湾との連携が必要です。


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