コラム・週刊Blessed Life 230
中国、長江が干上がり、河南省が干ばつで稲作全滅か!

新海 一朗

 この秋、稲の収穫をできず、食糧難で天を仰いで嘆く中国人民の光景が目に浮かぶと言えば、一体、どういうことかと問わざるを得ないでしょう。

 現在、連日の猛暑の中、世界のあちこちで人々の悲鳴の声が上がっています。
 その中で、中国大陸を襲っている猛暑は、記録的な暑さで40度前後の日射が大地を照りつけ、滔々(とうとう)と流れるはずの長江の水位は、川底に張り付いたわずかな水の流れが目に留まる程度という状態です。

 中国人の胃袋を満たす「米どころ」の河南省の田畑は完全に干ばつでひび割れ、稲の発育は全滅、この秋の収穫は望めないと諦めざるを得ない状況です。

 中国気象局は、824日、高温警告を発し、上海、浙江省、福建省、四川省、重慶、広東省、江西省など、15省で39度を超える天気が続くので注意するように言いましたが、すでに、中国では7月中旬から四川省、福建省、浙江省などで40度を超える暑さが続き、多くの川の水は干上がり、なくなってしまいました。

 田畑は干ばつで水がなく、ひび割れた土地は33万平方キロにも及びました。
 飲用水がなくなり、246万人が水を求めています。家畜の飼育もできず、干上がった川底の魚が腐って死臭を漂わせています。

 中国の気象局は、この暑さは夏だけでなく、秋まで続くと言い、秋に降る雨を期待しても駄目だと絶望的な予報を国民に伝えています。
 この秋、農業の収穫(稲・野菜などの収穫)は諦めざるを得ないと農民は絶望の中に落ちている状態です。

 中国気象局が雨量を記録するようになった1961年以降、今年の雨量が最も少なく、長江の各ダムの水は、例年の6月平均よりも75%も減っています。

 四川省の被害が最もひどく、水もなく、電気もありません。四川省から重慶まで、長江に注ぐ66の支流の川が空となりました。
 また、水力発電所25カ所のダムが空となりました。地下水を利用した2138個の井戸が空となりました。

 中国では干ばつは珍しくなく、過去、2006年、2013年、2017年、2019年と干ばつに見舞われましたが、今年の干ばつは期間が長く、しかも広域に及んでいます。
 2013年と2019年の干ばつは四川省と重慶だけでしたが、今年は、長江の上流から下流まで、水がなくなってきています。

 例年の干ばつ期間は7月下旬から8月上旬までですが、今年は6月下旬から8月いっぱい、さらには9月以降も続くかもしれず、異常としか言いようがありません。

 中国全土が熱さで沸騰し、水という水が中国大陸からどこかへ蒸発し、逃げていってしまったかのようです。炎熱地獄という言葉のとおりになっています。

 河南省は中国の食糧の基地です。
 河南省は、秋の季節に収穫する食糧は1年間の収穫の4分の3を占めますが、河南省を中心とした南側の地域が収穫する穀類の94%が中国全土の人々の胃袋を満たす主食になっています。

 その河南省も、通常の降雨量の半分以下になって、40年ぶりの深刻な干ばつに直面しています。
 農作物の被害面積は約90万ヘクタールに及んでおり、秋以降の中国人民の食料不足と食品価格の高騰は避けられません。
 食を求めて暴動が起きる可能性も否定できません。

 中国大陸は深刻な食糧危機の試練の中にあります。