青少年事情と教育を考える 17
教師が足りず授業ができない

ナビゲーター:中田 孝誠

 よく教師の働き方改革が話題になります。過労死ラインと言われる長時間勤務を改善し、もっと子供に向き合えるようにしようというのがポイントです。
 ただ一方では、教師が足りず授業ができないという事態も起こっています。

 先月、メディアで報道されましたが、広島県では県内の小中学校で臨時採用教員と非常勤講師が不足し、国語と理科の授業ができなかった学校がありました。
 島根県松江市では、中学校の英語教師が足りず、3年生の英語の授業が1カ月間できなかったということです。

▲文部科学省

 非正規教員を増やし、1年ごとの契約ということになると、採用する側にとっても毎年必要な人材を確保するのは大変です。
 また、非正規教員の立場からすると、正規でなくても勤務時間は長く、責任もあります。しかも給与は低い。たとえ免許を持っていても教員にならない人も少なくありません。採用試験の受験者も減る傾向にあるといわれます。こうしたことから教師不足になっているというわけです。

 一方で、第2次ベビーブームの子供たちが入学する時期に合わせて多く採用された教師が大量退職する時期になっていて、非正規教員の需要がますます高まっているわけです。しかも教師の年齢構成は20代と50代後半が比較的高く、30代から40代の中堅が少なくなっています。これから経験豊富な教師が一気に減ってしまうわけで、若返りはできても、現場の教育力が低下するのではないかと不安視されています。

 教師を巡る問題は子供たちの成長に関わります。待遇改善を含め、教師の働き方改革を早急に進めていく必要がありそうです。