青少年事情と教育を考える 18
増え続ける学校の統廃合

ナビゲーター:中田 孝誠

 今急速に進んでいる少子化は日本社会にさまざまな影響をもたらしますが、身近なところでは、学校の廃校、統廃合もその一つと言っていいでしょう。

 文部科学省のまとめによると、公立小学校は平成元年の24608校から28年には2万11校と、二十数年で4600校が廃校になりました。公立中学校は1578校から9555校と、1000校以上減っています。この間、小学生は950万人から637万人と、300万人以上減少しました。中学生も539万人から313万人に減っています。また、小中学校の統合は過去3年間で651件ありました。

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 学校が統廃合されると、校舎の整備(新増築、改修)、通学手段の確保(遠距離通学のためのスクールバスの導入)などで自治体の財政負担は少なくありません。教職員の人数の調整なども必要になります。施設整備計画との関係で、耐震化工事が遅れることもあり得るようです。

 特に地方で学校が廃校になると、子育て世帯にとっては住みにくくなります。そうなるとますます人口が減少し、地域の活力がなくなっていくでしょう。それこそ「地方消滅」が現実になるわけです。

 しかも、交通の便が悪い地方では、遠距離の通学になると、親が毎日車で送り迎えするという子供もいます。もともと一緒に遊ぶ子供の数も少ないわけですが、通学も車になると運動不足になりがちです。また、周囲が大人ばかりになると大人の生活リズムに合わせざるを得なくなり、睡眠不足や生活習慣の乱れにつながり、子供たちの健康がむしばまれると指摘する識者もいます(河合雅司『未来の年表2』講談社現代新書)。

 各自治体では、統合をきっかけにして魅力ある学校にしようという取り組みが行われています。地方だけでなく、東京都練馬区のような都市部でも行われています。学校は教育機関であることはもちろん、地域社会にとって重要なコミュニティーの拠点でもあるわけです。