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ユダ、罪を悔いて自殺

(光言社『FAX-NEWS』通巻858号[2003年12月15日号]「四大聖人物語」より)

 『FAX-NEWS』で連載した「四大聖人物語」を毎週月曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部が加筆・修正)

▲山上の垂訓(ウィキペディアより)

 イエスの居場所を密告したことを後悔したユダは、見返りに受け取った銀貨30枚を、神殿にいる祭司長や長老たちに返しにいきました。

 「私は罪のない人の血を売るようなことをしてしまった」。ユダは泣きながら言います。

 彼らは慰めはしません。「われわれの知ったことではない。自分のことは自分で始末するがいい」と冷ややかです。

 ユダは目の前が真っ暗です。後悔の念を抑えようがありません。

 「こんな金など持っていたくない」。ユダは汚れた金を神殿に投げ込みました。

 「私は救いようがない人間だ」。もちろん自殺が罪だと分かっています。

 ――こんな自分は、死ぬしかないじゃないか――そう思ったユダは首をつって自殺しました。

 神殿に投げ込まれた銀貨を拾い上げて祭司長たちは、「尊い神の神殿に納めるのは良くない。これは血の代価なのだから」。

 銀貨30枚の処置を話し合って、その金で陶器師の畑を買って、行き倒れになった旅人の墓地にすることにしました。

 陶器師の畑と言われる土地はその後ずっと残り続けます。そして約2000年後、今年、20035月に教会から十字架を外した米国の牧師たちがイスラエルを巡礼し、ユダがイエスを売って得た銀貨の引き替えというべき陶器師の畑に、イエスの悲しみの象徴、十字架を埋葬する儀式が行われたのです。

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 次回は、「人殺しのバラバを許せ」をお届けします。