2022.08.11 22:00
新 堕落性の構造 40
現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
阿部 正寿・著
12. 責任転嫁が恨みを生む
◉被害を償わせたい思い
では、恨みはどうして生じるのでしょうか? 恨みは避けることができるのでしょうか? 恨みはまず、外部の人や環境から、精神または肉体が侵害され被害を被ることから始まります。他人から悪口を言われたり不当に扱われたり、または暴力を振るわれたりしたときです。次に、それを自分が受容することができず、また被害を与えた人を許すことができないときです。最後に、自分が被った被害を何とか償ってもらいたいと欲するときです。
これが満たされないと、恨みはずっと続くことになります。あまり長い間恨みをもち続けると、ついには肉体をむしばみ、病気を引き起こすことになります。恨みは心のガンのような、とても恐ろしいものです。
恨みは自分と他人との間に成立したものです、他人を自分が思うように動かすことはとても難しいので、解決は容易でありません。しかし、それでは解決はいつまでもできません。
そこで、自分の中に解決を見いだすことにしましょう。まず自分が被害を受けたとき、「相手だけが悪い」と考えるよりも、「自分にもそれを受ける何らかの理由がある」と発想を変えてみることです。どう考えても「自分には非がないのに……」と思うときは、「自分の先祖たちの中にそれを受けなければならない人がいる」と歴史的に考えてみることです。もし、これができれば、問題を受容することもでき、相手を許すこともできるようになるでしょう。そうすれば、償いを求めたり復讐(ふくしゅう)をする気持ちはなくなることでしょう。
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次回は、「恨みは人間堕落の産物」をお届けします。